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HEAVY LOAD - Monsters of the Night ★★★ (2023-11-29 10:25:12)

実質バンドは解散状態だった時期に起死回生を狙いリリースされたと言われるシングル盤だが、北欧のマイナーな話題なので真偽の程は分からないが情報通から、そう教わったシングル盤。このあと、デモを作るが結局はバンドは終焉へと向かう。元祖北欧メタルバンドとしては、この安っぽいホラー映画を思わせるようなキーボードのリフ、そしてビックコーラスを使い妙に明るく派手目のホラームービーを想像させるような曲調だが、1985年というリリース当時の背景を考えるとなんとも言えない気分になる。
2曲目に収録される I'm Alive だが、こちらは北欧メタル万歳なストレートに弾ける疾走ナンバー。彼らのルーツたるヘヴィメタルサウンドを感じさせるスピード感が魅力である。ちなみに曲を書いたのはエディ・マルムの方だ。


WYTCH HAZEL - IV: Sacrament ★★ (2023-11-27 01:31:55)

今作リリース前に何度かシングル盤をリリース。重複しているのだが最後に出たSTRONG HEARTには今アルバムに4曲収録されている。それを聴きある程度、予想は立ってのだが、個人的には進んで欲しくない方向に傾いてしまった。
幽玄的な響き、赤く染まる秋空の夕焼け、そんな望郷心をくすぐるセンチメンタルなサウンドが売りだった。フォーキーさ、ウイッシュボーンアッシュの名盤に属するような湿り気を帯びたメロディと泣かせの旋律、扇情的なムードタップリのツインギターに、風に吹かれ揺らめく落ち葉を見ているような、悲しい気持ちを味合わせる独特の風合い、そのムードを上手くメジャー感を持たせたのが前作。巧みなモデルチェンジは違和感がなくメリハリを効かせ自分たちの型を見せたと思える。
ある意味、明確な成長というのか音楽性の変遷を見せつけたのだが、今作は前作の延長線上にあるが曖昧であり技術や、個性で勝負しているバンドではないので、こういうハードさを前に出した展開は、個人的には残念である。
まぁ彼らの真骨頂とも言えるDigging Deeperみたいな曲があるのだから、こういう成長というのか間口を広げ、よりメジャー感を強めたのは商業的に異論は無い。
ただ初期の世界観に魅了された人はフォーキーさの減退、そしてファットになったギターサウンドから繰り出される音像に違和感を覚える人は少なくないだろう。しかし⑥⑦の流れも、このバンドならではなのだが、この手のサウンドを愛聴している身としては、ハッキリ言うと皆が共有するアイデアの流用でありオリジナルティの減退も同様にマイナスに働いている。

今作における最大の評価は前作の延長線上にある、姉妹盤であり順調な成長が止まって見えるかに尽きる。泣かせのギターは満載だ。もうメロトロンは聞こえてこない、相変わらずドラムの音は好きになれない。線の細い歌声も枯れ線だから生きるが、ダイナミックさの増したハードサウンドでは弱い。思わぬ形で欠点を露呈することになったが、マンネリ化するのはまだ早い、お得意のシケシケな泣かせのNWOBHM仕込みのフォーキーロックによる孤高の世界観を見直して欲しい。

一般的な感覚で行けば、今作のメジャー感は素晴らしいものである。正直言えば、初めてこのバンドに触れるならば今作が相応しいと思える。雰囲気も今まで通りだし先人達からの影響をモロに出している。それだけに前回と同様なタイプのオープニングナンバーは芸が無い、あと④はシングル向けを狙いすぎ、でもメジャーで成功するのは、この手の曲を作れる技量は必要。難しい問題だ。

ケチのつけようがない素晴らしい作品なのだが、マイナーな存在の彼らが色気を出すのを素直に喜べなかったワシの耳がおかしいということです。こっちに言って欲しくなかったなぁ。音の軽さがマイナスなのよ。それまでも感じていた手作り感がハンパ無いのよ。前作との違いが薄いのよ。まぁ成功しているから続編が作れるのかと前向きに捉えていますが、定番化するのはもう少し後で良いね。妙に甘ったるいサウンドメイクもねぇ。


Coven - Earthlings ★★★ (2023-11-26 09:09:22)

現在はCOVEN JAPANとして活動するジャパニーズNWOBHMスタイルを呼んでも差し支えのない哀愁のヘヴィメタルバンドによる待望のフルアルバム。彼らが凄いのは前作のEPも海外のレーベルからリリースされたように、今作もNo Remorse Recordsからリリースしているのは実に興味深い。歌詞は日本語、サウンド的にも下村成二郎時代の初期ブリザードを思わせる演歌チックな情念すら漂わせる、国産HM/HRサウンドを披露。この音をマジで海外は欲しているのかに衝撃的な思いを受けるのですが、新しいメディアの登場は国境を簡単に越え瞬時に触れる事も可能となりました。
そういう背景は確実に後押しとなり色艶を最優先する日本のポンコツメディアからは生まれないであろう思想。自由なマインドが生み出される良いモノを取り入れよう、そして育てていこうという姿勢が、No Remorse Recordsからは感じる。

国産メタル特有の臭み、それはJ-POPやアニメソング的なエッセンスである。それらを否定する事はおかしい、我々は日本人である。自分たちの中から生まれる土着的なメロディ、時には陰陽座的な和風エッセンスも滲み出され、この悲哀に満ちた哀愁のメロディックメタルをやり切っている。

マイナーな音だ、そして古典である。それがどうしたである。ワールドワイドで主流になる音楽でもない。オッサン達が雑誌片手にライブに足を運ぶバンドでもない。しかし、強烈に惹きつけるビシャ濡れの哀愁と力強いハードサウンド、このバンドにしか出せない熟成された音楽性がある。積み上げられたHM/HRの歴史。そのスタイルを順当に継承する姿は正に様式美と呼ぶに相応しい。RAINBOWタイプという意味ではないのだが、魔女団日本とジャケに書かれる日本語。

そしてヘタウマな女性ヴォーカルの不器用な堅めの歌声、その弱さを存分にカバーするギターコンビのツボを押さえたプレイ。堅牢なリズム隊は、ハードサウンドの芯を支え一体感を強めている。彼女でなければダメなんだと思わせる個性もあるが、もっと上手い唄で聴きたいと思うのも事実。しかしバンドの顔は彼女である事は否定できない。難しい問題だが、このアルバムで筋金入のマニアをノックアウトして欲しい。その内、海外のフェスなどに呼ばれると良いなぁ。


NASTY SAVAGE - Indulgence ★★★ (2023-11-24 20:08:20)

どこか全体に漂う胡散臭さ、それがこのバンドの魅力だったりするのだが、今作は前作の世界観を更にビルドアップ。より明確にメリハリを付け高低のある激烈なサウンドを展開している。お得意の猥雑さやグロさも加えているが、ソリッドかつノイジーなサウンドは、緻密さを積み上げスリルを倍増してきた。速さだけではない、この独特の血なまぐささ、腐臭漂う血塗れのロックンロールサウンドが上手き機能してきたなと感じる。完成度は勝負となる3枚目に譲るが、バンドとしての成長。そして確かな手応えを感じさせた今作も、彼らを語る上では外せない一枚だろう。速くて汚い過激な音、スラッシュメタル夜明け前を支えたバンドの矜恃を感じますね。
子供の時に聴いた時とは随分と印象が変った。彼らが揺るぎなき独自性を確立するのに苦心した跡がうかがえる事にグッときますね。屈強なリズム隊に守られながら自由方便にかき鳴らされるギターサウンドのダイナミックさ、抑制をはかるように噛みつくナスティーロニーの胡散臭さ、嘘くささの中に紛れ込むダークなハードサウンドは、唯一無二の個性を磨いている。


WANTED BREED - Knights in Armor ★★★ (2023-11-24 04:19:01)

KISSみたいな白塗りメイクがキン肉マンに出てくるカス超人みたいで、なんともアマチュア感が漂うバンド。今作のみで消えた為に詳細は分からないが、その出で立ちが随分と損している。
アメリカ産らしい猥雑さ、そのヌルッとした感覚もあるが、勢いのあるストレートなロックをやったりグラムぽさもあったりと、多種多様な要素を混ぜ込み闇鍋感覚で楽しめる挑戦的なサウンドを披露している。
こういう真摯な姿勢と打ち出すバンドの本質は地に足をつけて大真面目にやっているのだが、コンセプトの分からない奇怪なメイクとオリジナル盤のチープなジャケットのせいで、手に取ることに躊躇するのは否めないだろう。こういうセンスはワタクシには理解できないが、メインストリームとは逆の発想を持つ路地裏街道US産メタルの持つ、胡散臭さと何かをぶち抜こうとするパワーには存分に興味をもっていかれますね。○○風ではあるが○○風ではない、そのありきたりに陥らない工夫と聴かせ方は大いに評価出来るだろう。
この手のマイナーアメリカンメタルはある意味、この時代ならではのスタイルだけに、マニアにはたまらんでしょうね、


ATKINS/MAY PROJECT - Empire of Destruction ★★★ (2023-11-22 15:56:25)

初代JPのシンガーとして知られる、アル・アトキンスと、その相棒ポール・メイの二人によるメタルプロジェクト。英国情緒溢れるパワフルなメロディックメタルを剛毅な歌声で彩るというスタイルはお得意のパターンなのだが、一本気にならぬよう曲調に表情を付け飽きさせぬよう工夫を凝らしている。ポールも多彩なプレイとメロディを指揮しバンドサウンド牽引、少々面白味に欠ける歌メロも何のその、彼が代わりに歌い上げていますよ。挑発的なサウンドは伝統に彩られたスタイルから野心的なフレージングまでと古典と革新を巧みに使い分け、実に鮮度の高いモノに仕上げている。⑦曲目ではシンリジィのカヴァーも披露と、こういうチョイス一つとっても、今作の方向性も見えてくるでしょう。重厚なミドルは勿論バラードもありと、テンポアップされた曲の合間にアイデア豊富な楽曲を挟み展開を設けている点も評価したいですね。


SATAN'S BLADE - Curse of the Blade 2022 ★★★ (2023-11-15 16:19:40)

こちらのサイトに自動登録出来たのは大昔に出したインストのみのデモ音源です。同じタイトルのフルアルバムを昨年にリリース。そのスピーディーに弾けるスタイルは、まさにスピードメタル。バンド名サタンの刃にアルバムタイトル呪いの刃と服部半蔵影の軍団ばりに刃が好きなのだが、とにかく禍々しくもおぞましいサウンドを一刀両断、スピードメタルで切り裂き聞きやすいサウンドへと昇華、実にわかりやすく展開していきます。
実に古くさい手法をとるバンドである。サウンドメイクもNWOBHMやそれ以前の空気感を出すが現代的なフィルターを通しているので、マイナスな要素はない。あくまでも狙ったヴィンテージ風味。
そしてアメリカ産なのでドライ。情念渦巻く魔界的なスタイルとは違うファンタジックな世界でもある。
このバンドの個性を決めているのがシンガーのカイル・リーの下品で歪んだハイトーンである。CIRITH UNGOLのシンガーを思い出させる歌唱スタイル。ウド・ダークシュナイダーほど、キレていないが同系統である事は間違いない。このあたりの嘘くささも、このサウンドにとっては適任と言えるから不思議だ。スピードで押し切る曲が多い中で、ラストには11分を超える大作ナンバーが登場。このドラマティックな展開を操れるセンスと才能は一発屋では無いぞと思わせる確かな手応えを感じさせた。

癖の強い歌い手がいるので、苦手は人も多いだろう。また音楽性も古典的なスタイルに根ざしている。オシャレ感や今っぽさなど皆無だ。それだけに昨今リリースされるメジャーどころや、ビックネームに惹かれるマニアには勧められませんが、JPやメイデンがもたらしたメタルの伝統と格式、Metal Churchなどに見られるダークでメランコリックなパワフル路線と踏襲するスタイルは、多くのマニアの心に届くだろう。


PLASMATICS - Beyond the Valley of 1984 - Masterplan ★★★ (2023-11-13 12:51:40)

荒々しく弾けるパンクロック
ライブでは車を破壊するパフォーマンスも披露する
刺激的な一曲
タイトル連呼してるだけなんですけどね
ライブ映えするわ


TREAT - Tunguska - Progenitors ★★★ (2023-11-13 12:40:58)

北欧風の冷ややかなメロディ
神秘的なイントロからバンドサウンドがイン
瞬時に空間を自分達のカラーに染め上げました
名盤の予感漂わせるオープニングナンバー


TOKYO BLADE - Unbroken - Devil's Gonna Bring You Down ★★★ (2023-11-13 12:10:27)

アルバムのオープニングナンバー
全盛期の空気感を醸し出すも
現代的に鍛え上げた一曲
これぞな雰囲気もバッチリ


片山圭司 - Odessa File - 君は春色のベルベット ★★★ (2023-11-10 18:34:30)

哀愁系昭和歌謡ハードポップス
片山の歌がメインです
アルバム全体にいるのだが
このちょいハズい感覚に襲われるのが
最大の聞き所
CD化されない幻の一枚なんだよな


片山圭司 - Odessa File - O.c.a.t.マリア ★★★ (2023-11-10 18:30:42)

よくわからないタイトルですが
教えておくれマリアとサビで歌います
ダサい
これも昭和ですね
弾けるポップセンスと熱い歌声
合間にねじ込まれるハードなギター
そのアンバランスなミスマッチ感がポイント


片山圭司 - Odessa File - Stand Back ★★★ (2023-11-10 18:27:22)

アルバムのオープニングナンバー
片山の男臭いハスキーヴォイスがいいですね
昭和歌謡漂うハードナンバー
懐かしい空気が満載
どっしりと構えたミドルで幕開け
聞きやすくまとめています


WENDY O. WILLIAMS - Kommander of Kaos - Jailbait ★★★ (2023-11-10 18:19:29)

モーターヘッドと共演した映像もありますね
この映像か醸し出されるパンキッシュで危険な薫り
いいですよね
スタジオ盤よりライブ映えする一曲ですね


WENDY O. WILLIAMS - WOW - Ain’t None of Your Business ★★★ (2023-11-10 18:16:10)

シンプルだが激しく叩き出せるビート
そこにからむ彼女のシャウト
明確な意思とメッセージがあった
日本ではイロモノ扱いされてしまったが
モーターヘッドやガールスクール等が好きな人は
彼女から共通点も見出だせるはず


PLASMATICS - Coup d'État - No Class ★★★ (2023-11-10 18:10:02)

シンプルに叩き出されるビート
分かりやすい曲調
アルバム全体に言えることだが
パンキッシュに弾ける親しみやすいサウンドは
今の時代逆に親切だろう


CELTIC FROST - Cold Lake ★★★ (2023-11-06 14:29:04)

初期の作品や再結成したアルバムしか知らない若い人には、この音を聴いてCELTIC FROSTといっても信じて貰えないでしょう。前作からアヴァンギャルドな雰囲気が高まり、所謂スラッシュメタルやブラックメタルなどとは距離を置く独自性を垣間見せてきた。元々がサバス+DEATHCHARGEなどと形容され、その暗黒様式は模索中という感じもあったので、前作で魅せた独自性は異質な世界観に踏み込みオリジナルティを研磨していた。
その中で、メンバーが刷新。結局残ったのはTom G. Warriorことトーマス・ガブリエルのみ、そして次に進んだのがこの方向性なのだが、グラムメタル化したと方々で非難されたが、グラムメタルにしては随分、ダーティーで突き放すような音楽性、大衆的な面もあるがけして付き合いやすいサウンドではない。なんども形容しがたいスタイルとなった。元々歌の上手さで聴かせるタイプの歌声ではないトムさん。それだけに、この方向性には可能性を感じないのだが、ノイズからのプレッシャーでもあったのか?と勘ぐりたくなるほど、スタンスを変えてきた。
多くのファンが口々にする、彼らのカタログの中で最弱のアルバムと呼ばれる一品。しかし一周回った、今の若い人には是非ともトライして欲しい一枚ですね。苦心の末に生み出されたような大衆性を見据えた音楽性。その中でも前作にあったアヴァンギャルドな空気感を保ち、シーンに切り込もうとする姿はけして非難されるだけではないように感じます。
ある意味、このバンドの持ち味は内なる変革と一つの場所に留まらない精神性にあるんでしょうね。そういう見方を変えてみると景色も変るから面白い。先入観を捨てて向き合って欲しいですね。


DOKKEN - Heaven Comes Down ★★ (2023-11-05 11:11:41)

先行公開された曲から予想されたDOKKEN80年代に戻る、そのイメージに即した内容となったフルアルバム。ドン以外は全盛期のメンバーは参加しておらず、もはやソロアルバムと言えるが、DOKKEN名義として出す分には問題はない。80年代にはあまり感じさせなかったブルースフィーリングも上手く溶け込み現代的なテクノロジーと向き合い古典をやり切っている。
正直、置きにいった感はあるが往年のファンが求めるスタイルは提示できた。
完全に艶を失った声、歌を聴かせる曲調だけに厳しい面はあるのだが、一時期ベースで参加していたマーク・ボールズがバッキングヴォーカルで参加(マークがメインで歌っても様になるし、もっと評価された可能性がある)、ドンの衰えをフォローしている。

正直、今作の評価を分ける最大のポイントはノスタルジックに浸れるか?この一転だろう。正直、ベテランバンドの80年代ど真ん中回帰の風潮に個人的には、何を今更と思ってしまいイマイチ素直になれないのだが、曲間も短く一つの物語として進む構成、シングルヒット一発狙いではなく、アルバム単位で勝負してきたという点は大いに評価したい。

しかし、どうもサウンドプロダクションに関してはドラムの音などイマイチダイナミズムに欠けている点がある。ジョン・レヴィンは才能のあるギタリストだ。時代が時代ならギターヒーローになれたろう。
今作でも彼は偉大なるギタリストの後任として恥じないプレイを聴かせているが、やはり弱々しい声のドンが歌う今作では孤軍奮闘といったところだろうか?

無難なアルバムと作風。もっと歌える時にリリースして欲しかったアルバムだ。なんか安っぽいんだよなぁ。


CIRITH UNGOL - Dark Parade ★★★ (2023-11-05 10:55:35)

2020年に復活のフルアルバムをリリースした伝説のバンド。アメリカ産でありながらも叙情的なメロディとエピカルな世界観を紡ぐ高尚なる精神性が高く評価され熱狂的なマニアを生んだバンド。まぁ日本では、雑誌の低評価など、逆にマイナスが付加価値を付け、俺はこんなマイナーなバンドを知っているみたいな、変な人たちが賞賛する傾向があり、ちょっとヤバいのですが、そういう妙なマニア気質とは一切関わりと持たないのが信条のワタクシとしては、外野の偏見に左右されず音そのもので評価して欲しいバンドですね。
世界中から伊達にカルトメタル番長と持ち上げられた分けではありません。

オープニングナンバーから勢いのある楽曲の登場に面を喰らっていたら、その勢いは最後まで衰えることなく、このバンドのもつドラマ性を十分に発揮してラストまで完走。2023年の時代を生きる古典メタルの矜恃、その枯渇しないアイデアと失われることのないアイデンティティ、サウンドミックスも分離が良く各パートの持ち味を生かしている。
ヴィンテージ臭漂うリフワーク。エコーの掛かったドラムは這いずるように叩き出され、この魑魅魍魎がうごめくバンドサウンドを決めている。実に古くさい音を今風に作り上げた。
NIGHT DEMONのベースであり、このバンドのベースでもある、復活後のプロデューサーを務めるジャービス・レザービーのバンド愛に対する建設的な姿勢も評価されるべきでしょうね。

このバンドの欠点はチープさにあった、その嘘くささが愛されポイントではあったが一段上に行くには、こうあるべきと言うスタイルにビルドアップ。前作を凌ぐ内容となっていますね。4枚目のアルバムを順当に引き継ぎ、自らのアイデンティティ研磨した揺るぎなき精神性。過去をなぞるだけのノスタルジックバンドではない現役感。アルバムを通して聴くことに価値があるドラマ性を大切にした楽曲と曲順、全8曲で44分というランニングタイムも聴きやすさを誘発しており、この独自性の高い世界観に没頭できるだろう。
濃密に絡み合うツインギターも前作以上にメリハリを付け粘土の高いプレイも飛び出し魅了。これぞ現代のCIRITH UNGOLだろう。


Christian Tolle Project - Now & Then ★★★ (2023-10-31 14:29:34)

ドイツ人ギタリスト、クリスチャン・トールによるロックプロジェクトの第4弾。詳しいバイオは分からないが、リメイクと新曲で構成されているフルアルバム。
彼がミュージシャンとして人生をスタートさせるも、ミュージックライターに転身。その後、知り合う海外の有名アーティストに触発され再びギターを手に取り活動に乗り出す。ソロのキャリア以外にも、オランダ人シンガー、ジョン・カイパーズとバンドを組んだりと、けしてポッと出の新人ではない。
今作でもリードシンガーとして豪華な顔ぶれが揃う、ジョン・パー、フィリップ・バードウェル、リック・リソ、デヴィッド・リース、マイケル・ヴォス、ジョン・カイパーズという実力派が一堂に顔を揃え、メロディックメタルに華を添えています。
ドラマーはレイモンド・エルヴェイユが多彩なリズムを刻みバンドサウンドを支え、ベースはクリスチャン・トール以外に、チャック・ライト、ローレン・シェフがゲスト参加、さらにリードギターとしてスティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドゥ、ティム・ピアース、ダグ・アルドリッチがゲスト参加。豪華幕の内弁当ですよね。
目移りして、どこから箸をつけたらよいのか分からない、ライター時代のコネを使っていますが、作風は割と堅実です。いたってシンプルな作りです。大きな裏切りもなくAOR調の渋目のメロディックハードサウンドを奏でています。
それだけに大きな発見はありませんが、この顔ぶれが揃うだけのクオリティは保持しているので、マニアならば安心して聴いていられるでしょう。
こういう全く知らないアーティストを紹介してくれるのはありがたい、毎日新譜や新情報に上書きされ記憶が追いつかん。恐るべしストリーミングサービス。そして今、あの雑誌1000円もするんだね。


SABU - Banshee ★★★ (2023-10-29 17:18:43)

我らがフロンティアからリリースされたポール・サブーのソロアルバム。相棒は日本ではB'zなどの活動で知られるバリー・スパークス。メタル界ではMSGやイングヴェイ、そしてドッケンもやったかな?この二人がじっくり腰を据えて作り上げた作品らしいのですが、ポールの荒々しい男臭い歌声が、フック満載な哀愁のメロディを歌い上げるという趣向と取っておりファンにはたまらん内容になっています。
彼が築き上げたミュージシャン人生の集大成にも似た感触があり、Only Childなんかも思い出させる出来映えに満足させられるでしょうね。往年の姿と重ね耳を傾ける事の出来る力作。
彼の動向に注視していた分けではないので、よく分からないのだが今作は久しぶりのスマッシュヒットだろう。普遍的な魅力を携えたAOR調のメロディックハードスタイル。これぞサブーに期待した音だろう。
繊細さとダイナミックさの融合、古典的なサウンドをここまで嫌味無く現代に落とし込みやり切る手腕に目を見張りますね。
メリハリを効かせ甘いだけじゃないハードさが最高にカッコイイんですよね。ちゃんと走るのもあるのよ。


PHANTOM 5 - Phantom 5 ★★ (2023-10-29 17:05:51)

マイケル・ヴォスがプロデュースにギターを担当と、彼がバンドのイニシアチブを握っているのだろうか、歌い手はクラウス・レスマンときて、ベースには大御所のフランシス・ブッフホルツという布陣。この実力派ジャーマンスーパーロックグループの登場に大きな期待をするのだが、全体的には無難なメロディックメタルに落ち着いている。
各メンバーが用いる今の要素を加味して、どんな音になるのかと思ったらノスタルジックなサウンドに収まっている。そこが評価を分ける最大のポイントだろう。それこそ、俺達が求めるPHANTOM 5 なのか、このメンツが揃うのだから突き抜ける何かが必要だと感じるか、その点に尽きるのですが、そつなくこなしているので十分に及第点は超えています。
個人的には期待しすぎたので、やや単調に感じてしまった。一曲の完成度は高いのだがアルバム単位になると印象に残らない場面があったりと、なんだか順番が損しているみたいな気持ちになるのだが、堅実さが最大の魅力なので、安心して聴いていられるのは間違いない。疲弊した耳を休めるのに丁度良いハードサウンドだろう。


LANCIA - Lancia ★★★ (2023-10-29 16:56:58)

リリースは1992年、日本では遅れて翌年に販売されたが、時期既に遅しと言われても仕方が無いようなサウンドを披露。懐かしい雰囲気満載のドライブするロックナンバーは、アメリカンなハードサウンドを良心とも呼べるモノであり、メインストリームに押し上げているが、見た目だけではない腕のあるメンツと粒だった楽曲を揃え、時代が違えばヒット間違いなしの音楽性だったろう。
ヘアメタル勢の中には、完全に青田買いの実力不足バンドが多数存在した。
都市伝説のように、困り果てたプロデューサーが馴染みのアーティストに差し替えでプレイさせていたという時代があったアメリカの歪んだ音楽市場。そういうことの慣れの果てがメタルバブルの崩壊に繋がるのだが、いずれにしろ西側に与するメディアのやり口にウンザリさせられますね。

適度にハードでヘヴィ、セクシーで男臭いサウンド。ドライだが粘土のある情念とパワー。売れ線になびかない本格派のサウンドというのは、そう滅多にお目にかかれませんよ。見かけたら迷わず手に取って欲しい一枚です。
LANCIAで検索しても車ばっかり引っかかるのも運の無さだよなぁ。


LYNCH MOB - Babylon ★★★ (2023-10-24 10:29:42)

それなりにアルバムをリリースしていたが、興味の対象ではなかったジョージ・リンチ率いるファンキーなハードロックサウンドが売りのバンド、その後は実験的なスタイルで勝負していたらしいが聴いたことがない。
そして2023年にリリースされた今作は、初期の頃を彷彿とさせるのも、もっとソリッドでメタリックなナンバーも収録と、80年代的なスタイルを墓標としつつも、単なる回顧録では終わらない現代的なフィルターを通したサウンドを確立している。
ヴァン・ヘイレンみたいな曲もあったりと、余興的なフレーズもあるが、お爺ちゃんとは思えないキレのあるギターを弾く、ジョージの衰え知らずのカミソリギターに舌を巻く。
ギターオリエンテッドな作風だが、バランス良く歌も前に出しバンドとしての体裁を保っている。主役はジョージだが脇役にもしっかりとスポットライトを当てバンドサウンドから一体感を生み出している点も評価出来るだろう。
驚くのはここで歌うプエルトリカンのガブリエル・コロンブス(Gabriel Colónでコロンブスに翻訳されるの?)の器用さ、復活したSavage Graceのリードシンガーとしても知られる彼だが、そこではロブ・ハルフォードのようなメタリックシャウトをかましている。それだけに、ここで聴けるスタイルとは感触もだいぶ違うので、なかなか器用なタイプであることは間違いないだろう。

このアルバムにはグルーヴィーさもあるが、それ以上にメロディがある、普遍的な魅力を携えている。かつてのスタイルではあるが、進化形である事に間違いはない。しかし後ろ向きと捉えるかで評価は分かれるでしょうね。
全曲名曲なんてアルバムはそうはお目にかかれません、お好みの曲を摘まみ雰囲気を楽しめたら十分でしょう。ジョージ・リンチというギタリストには、それだけの価値がありますよ。


Garrison - The Demo Recordings ★★★ (2023-10-21 12:08:17)

スコットランドからやってきたメインストリームタイプのメタルバンド。正式なデビューを勝ち取れなかったのだが、今作は1987年から1992年までに録りためたデモ音源集。完全にやりにいっているので個性は薄め。メンバーのルックスも良いのにデビュー出来なかったのは、この辺の没個性に起因していたと思うのだが、あの時代を愛する人には懐メロ感覚で楽しめるでしょう。
CD盤は2013年に僅か500枚というプレス数だったということで、今では購入は不可能でしょう。よほど拘りがない限り、現物に拘る必要も無いので、無料で気軽に楽しめますから、お暇な方にはチョット寄り道して楽しんで欲しいですね。
記載がないので、断言できないが音楽性が時代で変っているのが面白い。キーボードを生かした哀愁のメロディック路線から、90年代風のラフなロックまで収録されていますが、このバンドはメロディに軸を置いているので日本人好みのスタイルになっていますよね。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser ★★★ (2023-10-20 14:04:01)

若さとトラディショナルな基本形を押さえたバンドとして国内外から注目を集める若手バンド。そのメタルに対する忠誠心と実直な姿勢、頭から、これぞメタルと言いたくなるストレートな展開で魅了。単なるスピード勝負なバンドとは一線を画す芸の細やかさがあり、温故知新を通り越した普遍的な魅力を打ち出している。
世代を超えて支持される王道サウンドと活きの良さに感嘆しました。フレッシュさを損なわない純然たるメタル、小細工無用、心の赴くままに愛するものを実直にやり切ったと、思わせる姿勢とサウンドに共感を覚えるマニアは多いでしょう。
いまだに国籍で音楽の善し悪しを判断する人間はいますが、彼らは海外から火がつきそうな可能性もあるところがポイントだろう。

今の時代、カワイイ女の子がギャップで人気が出ます、メディアもそこを激押しですので、彼らのようなむさ苦しい長髪野郎に支援の手が差し伸べられるかは微妙だが、彼らには自らの力で切り開けるだけの力がある。
なかなかメンバーが固定されない難しさもあるようだ。運も実力のうちという、なんとか次のステップを掴んで欲しい。
この音は実に魅力的だ。聴いてきて身体が勝手に反応します。個人的にはこれぞ、メタルだと思う音ですね。


Together - Playing Games ★★★ (2023-10-20 02:23:18)

Mausoleum Recordsから1985年にリリースされた4曲入のEP。前年にはRoadrunner Recordsからリリースされたコンピ作Dutch Steelに顔を出し、これからのバンドという勢いを感じるが結成は70年代後半というキャリアを積んだ苦労人でもある。
ようやくデビューにこぎ着けたバンドサウンド。王道も王道をど真ん中で闊歩するストレートなハードサウンドを披露。情熱的なサウンドは基本線を押さえており、その実直な姿勢こそ、このバンド最大の魅力。今となっては古典メタルの教科書のような、典型例なれど、熱の籠もったハードサウンドに嘘偽りは一切ございません。迸る熱情、ハードブギーあり、バラードありスピードナンバーありと、4曲では物足りないと思わせる充実した内容。先人達から受け継がれたルーツ。それを素直に打ち出しているから、今聴いても色あせない。当時としては渋い路線になるんだけどね。


GEMINI - Gemini ★★★ (2023-10-16 12:02:28)

期待のバンドだったジェミニ。結成当初はルックスの良さも手伝い契約の話が舞い込むも、あれよあれよとグランジブームが到来。中途半端な形でNightmare Recordsからのリリースとなった。シンガーのランス・キングの確かなパフォーマンス、二本のギターはテクニック的に申し分なしの派手なプレイを随所に見せ、華やかなグラム系ハードサウンドの典型的な見せ方で王道を押さえている。今となっては懐かしい音だが、当時としてはやり尽くされた手法だけに、どこまで評価を得られたかは微妙であるが、メンバーは華のあるメンツが揃っているので、ムーブメントに乗れば成功は掴んだろう。勿論、狙いすましたバラードも配置されていますので、アメリカンロックを愛するマニアには丁度良いヤツがバランス良く詰め込まれています。グラム系ハードサウンド幕の内弁当として重宝するでしょうね。
でも、もっとメジャーなヤツがあるから、わざわざ手を出す必要な無いのかも知れませんが、無名なだけで、けしてメジャー作品にひけはとっていませんよ。


BLACK ROSE - Boys Will Be Boys ★★★ (2023-10-15 01:35:38)

活動は70年代から80年に入りバンド名を改名、BLACK ROSEと名乗りNWOBHMブームに乗る形で活動。シングル盤にNEAT主催のスプリット盤に参加そして、EPをリリースと大手との契約ではないがコンスタントに作品をリリース。そして待望のフルアルバムへとこぎ着ける。一般的な知名度は低いがNWOBHMマニアの中では有名であり、スタイル的にはメジャーでも十分通用する音楽性を披露。デビュー当時のデフレパートタイプのサウンドであり、いい意味でのメジャー感を引っ提げ堂々と真正面から勝負をしかけている。
NWOBHM四天王とか訳の分からないカテゴライズをされたデフレパートはアメリカンな要素が強いが、このバンドはもっと正統的であり、王道である。しかし商業的な面で引け目を感じさせるようなマニアック路線ではない。ストレートに打ち鳴らされるハードロックは、実に心地よいモノであり、もっと成功してもおかしくない普遍的な魅力を携えている。
批評家の目に留まらなかったが為に、今もってマイナーな存在のままだが、1984年という、またL.Aからの流行病に毒される寸前の英国式メジャーロック、その絶妙なバランス感覚を楽しんで欲しい。一本筋の通った硬軟交えたサウンドは、NWOBHMマニア以外にこそ響くと思いますよ。


DAMIAN HAMADA'S CREATURES - 運命の支配者 ★★★ (2023-10-12 18:00:25)

前作から1年以上のインターバルが開きました。メンバーも刷新、新しい顔ぶれを揃えるもダミアンワールドは全開。前作のリメイク集も今作も方向性に代りは無く中世ヨーロピアン調の魔界舞踏を堪能出来ます。
バンドの顔でもある伊舎堂さくらことシエル伊舎堂の歌声もバンドにドンドンと馴染み、クリアーな声質だが幼さを感じるさせる歌声だったが、今作ではそういう面も改善されつつあり、ダイナミックなハードサウンドの中で自己のアイデンティティを主張、前作以上にメリハリの効いたメロディックメタルサウンドの中で存在感を出しています。
前作のミックスが好きになれなかった身としては、その点が改善されただけでも十分楽しめるのだが、やはりドラムの音が好きになれない。新しいリードギターは巧者、ダミアンワールドの立役者として縦横無尽に駆け巡り、印象的なフレーズと技巧を散りばめ魅了する。

明確な世界観を持つバンドの強み、それは究極のマンネリズムでもある。それ故に、似て非なるものを作り上げるのには苦労は絶えないだろが、ダミアン式様式美サウンドに陰りは見えない。とは言え、そろそろ毛色の違ったのも欲しくなるのだが全7曲、バラエティ豊かな楽曲を並べ問答無用の叙情派魔界サウンドは甘美な陶酔感を与え感覚を麻痺、異形なる魔界へと誘うでしょう。

新メンバーのお披露目式は成功。次が勝負だろうなぁ。


人間椅子 - 色即是空 ★★★ (2023-10-12 17:21:04)

近年の精力的な活動と勢いに驚かされますね、日本語歌詞ながら海外でも人気を掴んでいる希有なバンド。今作も自らのルーツなる音楽性を土台にアッパーな曲がバランス良く支配。かつての和島が書いた中途半端なポップ路線は皆無、鈴木の描くエグいゴン太なサウンドと、和島の描く世界観が無駄なく並べられ視聴感は前作以上に親しみやすいモノである。
今、日本のメジャーアクトでラウドネスやアンセムは別として、ここまでヘヴィな音像でアルバムをリリースできるのは彼らくらいなモノだろう。とにかくキャッチーでメロディアスな曲が多いと感じる、それは和島のギターアプローチが今まで以上にメロディアスなものになっているから。
灰汁の濃い面は鈴木のベースが担当、彼の曲もエグい。今作を聴き一番感じたのは、アングラ臭の配合が絶妙。彼ららしさを損なわず、前作以上に間口を広げ多くのファンを迎え撃つ準備をしている。従来のファンも満足するだろうが、新規開拓にこそ意味があるだけに、この方向性は大いに支持できる。究極の同人誌メタル。そのマニアックさは内向きではなく外に向かって解放。
だから求心力が強いモノに仕上がったんでしょうね。相変わらずのオマージュも個人的には大好物。明確なコンセプトを立て作り上げたサウンドに隙は見当たりません。とにかく勢いのある曲が多いので、そっち系が好きな人には大いにしじするでしょう。いずれにしろ彼らにとっては新しい代表作となる一枚。和島のギターがいい、和島式アイオミが大好きなのだが、ここまでメロディアスなアプローチをとるとは驚きだ。その解釈が新鮮な風を吹き込んでいる。ナカジマノブのドラムも勢いを殺していないねぇ。
他に適任がいたとしてもメンバーシップは重要だ。


FIRSTRYKE - Just a Nightmare ★★★ (2023-10-10 16:17:17)

元々はSlayerと名乗っていましたが権利の関係でバンド名を変更。ちなみにSlayerってバンドは沢山ありまして正式な作品をリリースできたバンドは皆、改名しています。ドン・ヴァン・スタヴァンのS.Aスレイヤーなどは典型例でしょう。
アメリカのバンドです、時代は1986年。ヌルッとした手触りのグラム系アングラハードサウンド。メジャーアクトのような垢抜けたサウンドではありませんが、路地裏にたむろするワルっぽさと、原色がうるさいキャンディのような人工甘味料的、身体に悪そうなポップセンスもまぶし、初期型のL.A風味を出している。
コレと言った一発必殺技があれば良いのだが、雰囲気はそれっぽいので、その筋のマニアには受けそうだ。シンガーの声質もヴィンス・ニールに似ているなぁ、なんて瞬間もあったりするのでね。こういう嘘くさいヤツって懐かしいですよね。
今ではお目にかかれませんよ。あの時代ならではでしょう、


CHINA BEACH - Six Bullet Russian Roulette ★★★ (2023-10-10 15:54:16)

Blood Moneyのシンガーとして知られ、アイアンメイデンのヴォーカル選考の最終段階まで残ったと噂される実力派のシンガー、ダニー・フォックスと後にAyin AlephやKill II Thisで活躍するギタリスト、マーク・マイネット。ドラマーはゲスト参加でXentrixのデニス・ガッサーらが名を連ねるバンドの1st。リリースが1994年ですからね。モダンなヤツなのは間違いありませんが、テイチクから国内盤が出ているように(現物は見たことがないのであれなんですけどね)日本人好みの哀愁を散りばめており、バラード③ミドルの④と情緒のあるヤツも用意してある。オープニングナンバーなグルーヴィーなヤツなんで、またコレかと当時のシーンを知っている人ならば、中途半端なヤツを聴かされると拒絶反応も出ますよね。
しかし、ギターは巧者。歌も上手いとくれば、無視できない要素も大。国内盤が出ているのだから、ある程度のクオリティは保証できると信じられるマニアには勧めたい90年代型の正統派サウンドです。
頭のイメージがチョイと悪いだけで盛り返します。いやいやむしろ当時を考えると好意的に受け止められるのです、⑤もパワフルかつストレートに打ち鳴らされますが、⑥ではファンキーな味付けが登場とバラエティ豊か、色んなタイプに手を出していますが、これも時代の流れだよと受け止められるでしょうね。
とっちらかっている印象は否めないが、ギター兼ベースのマークが上手いこと立ち回り八面六臂の大活躍、Blood MoneyからFOXX、そして忘れ去られた男、ダニー・フォックスが復活の狼煙を上げたのが今作と言うことでしょう。
お好みで飛ばしながら聴いていけば不満も少ないだろう、アルバム丸々名曲なんてものは、そうお目にかかれませんからね。
それにしてもダニー・フォックスってこんなに唄えたんだ。逆に再評価しましたよ。


Helms Deep - Treacherous Ways ★★★ (2023-10-05 20:01:49)

ヴォーカル兼ギターのアレックス・シオルティーノのさんの事は勉強不足でよく分かりませんが、リズム隊が熱い。ベースは我らがジョン・ギャラガー、ドラムはマイク・ヘラーというRAVEN組が担当。古典に拘り抜いたクラシックサウドはこれぞヘヴィメタルと言ったマナーと様式を守り愛するサウンドに収支徹しており、そのやりきりぶりに驚かされる。
ド派手なドラムはバンドサウンドを後方支援、時には前に立ちバンドサウンドを牽引するかのような目立ちっぷりに興奮、ここでは少々キャラが薄めだが十分存在感を発揮するベースの個性的なフレーズと組み立て、なにより楽曲が素晴らしいではないか、過度に主張しないバンドサウンド、荒涼とした哀愁のメロディ、これぞ正統的なスタイルというヤツであろう。
誰がイニシアチブを握っているのかは分からないが、各々が主張しすぎないというのはバンドにとっては最重要、その意識と三位一体から生み出される緊張感と秘めたるパワー、これぞヘヴィメタルであろう。


SODOM - Decision Day ★★★ (2023-10-05 19:34:30)

冷酷なる殺人マシーンの如き殺傷力のあるサウンドを死命とするバンドのフルアルバム。もはやジャーマンスラッシュ界の大御所であり、そのブランド力は一定の威光が備わっているだろう。怒気を孕んだトム・エンジェルリッパーの咆哮、その叫びは聞く者を魔界へと誘いダークサイドへと引き込む、キリキリとテンションを名いっぱい引き上げた鋼鉄サウンド、そのタイトなリズムと無慈悲なる攻撃性は最初から最後まで一切緩むことなく手加減無し、聴いていて身震いさせられる恐ろしさがあるのに、今作は絶妙なバイオレンスさの中に、意外なほど聴きやすい要素を織り込み充実した内容を誇っている。
自らのアイデンティティを誇示しつつも多方面にアピールしうる音楽性、そのベテランバンドの大いなる野心にひれ伏しますね。けして守りには入らなかった横綱相撲、スラッシュメタルのなんたるかを知るには丁度よいアルバムかも知れません。
名前やセールスで判断されても困りますからね。


Dirkschneider & the Old Gang - Every Heart is Burning ★★★ (2023-10-04 15:58:26)

ウド・ダークシュナイダー、ピーター・バルデス、ステファン・カウフマンのACCEPT組に、現役を引退しているマティアス・ディート、そしてウドの息子、スヴェン・ダークシュナイダーという、ウドにゆかりのあるメンバーが集合、そこに紅一点の女性シンガー、マヌエラ・ビベールが加わり、ウド、ピーターと3人でリードシンガーを担当している。
音楽性的には、ACCEPT、U.D.O.のもっていた扇情的な面を最大限にフィーチャー、メロディアスかつ扇情的な泣きのメロディを前面に押し出し感動を運んできます。もっと厳つく走り出すメタルをご所望の方には物足りないだろうが、久しぶりにマティアスがリードギターとしてソロを披露と、話題性は尽きない。
単なる昔の仲間が集まりノリでやっただけではないメロディックメタルプロジェクト。本気度も伝わるが、これくらいは、このメンツが集まればすぐに出来るよ、的なケミストリーもあったりとブランド力に恥じないのは当然と思える音楽性である。
あくまでもウドの培ったメロディックメタルサイドを打ち出した、マティアス・ディートも錆びていなかった。なにより、ピーター・バルデス、ステファン・カウフマンとウドの3人が揃ったという点が最大のポイントだろう。
ピーターの歌声も存在感を発揮、ウドと渡り合い音楽性にも貢献、女性シンガーの存在も含め、リリカルなメロディを鋼のサウンドで磨き上げ研磨するという事に向いている。

ちなみにCD化のさいにタイトルがArisingと代わり世に出ている。たった3曲だが、十分魅力は伝わってきた。是非、フルアルバムに期待したいですね。まぁU.D.O.があるし、ピーター・バルデスも加入したし、マティアス・ディートと女性シンガーをゲストに迎えればすむだけの気もするが、こういうプロジェクトは嫌いじゃないので、やって欲しいですね。


I-TEN - Taking a Cold Look ★★★ (2023-09-25 15:32:01)

ソングライターチームとして活動するトム・ケリーとビリー・スタインバーグが結成したプロジェクト。キース・オルセンにスティーブ・ルカサーがプロデューサーとして名を連ねたりと名盤の匂いがプンプン漂う。
その関係でバックメンバーも豪華なのよねぇ。淀みのないハイトーンが耳を引くケリーの歌声、もとはミュージシャンだった二人が力を合わせ作り上げるのだから駄作なわけがない。
のちにHEARTがヒットさせるALONE。I Don't Want To Lose YouはReo Speedwagonが、Taking a Cold LookはHoneymoon SuiteがCold Lookとタイトルを短くしてカヴァーしています。
トム・ケリーがリタイアするまで、コンビは続いた売れっ子ソングライターチーム。これだけの良作がなぜ売れなかったのだろうか?
メロディ派のマニアならば押さえておかないといけない逸品ですよね。そして彼らがミュージシャンだと知らない人も多いので、教えたいですねぇ。デスモンド・チャイルドもジム・ヴァランスもみんなそうなんですけどね。
みんなジャンルは違えどいい曲を書いています。


FOOLS GOLD - Fools Gold - Rain, Oh, Rain ★★★ (2023-09-25 15:12:11)

バンド活動に励むもなかなか目が出なかったトム・ケリー
Dan Fogelbergのバックバンドを経て念願のレコードデビューを果たす
この曲はそこからのシングルカット
ハーモニーを生かした温かみのあるメロディとほっこりサウンド
カントリーミュージックとしては売れそうな気配がプンプンと漂っています
アルバムは豪華アーティストがゲスト参加と話題性はあったがスマッシュヒットとはならなかった


LINDA RONSTADT - Mad Love - How Do I Make You ★★★ (2023-09-25 15:01:04)

ビリー・スタインバーグが結成したバンドBilly Thermalの曲を気に入った彼女が私に頂戴みたいな感じでレコーディングしてヒット
ビリーも一躍ソングライターとして名声を得る
ミュージシャンとしては諦めソングライターとして歩むビリー
もしこの曲を正式に自分たちのものとして世に出していたらどうなっていたのだろうか?
もしデモをリンダが聴いていなかったら
人生とは数奇なものですね


DESMOND CHILD & ROUGE - Desmond Child and Rouge - Our Love Is Insane ★★★ (2023-09-25 14:50:11)

全米TOP40ヒットとなったディスコ・ポップ・ナンバー
のちに売れっ子ソングライターとして活躍するデスモンド・チャイルドの才能は発揮されていますよね
美しいハーモニーとメロディ
門外漢も甚だしいワタクシですが
そりゃヒットするわな


FAST FORWARD - Living in fiction - What's it gonna take ★★★ (2023-09-25 14:42:38)

アルバムからシングルカットされた一曲
オリエンタルなキーボードがアクセントになっていますね
良いメロディと確かなパフォーマンス
耳に残りますよねぇ
プロデューサーはブルース・フェバーン
ミックスはボブ・ロック
ドラマーとして下積みを経験しているジム・ヴァランスがドラムを担当しています


SKYLARK - Skylark - Wildflower ★★★ (2023-09-25 14:33:00)

デイヴィッド・フォスターのミュージシャン時代のヒット曲
ここでもアレンジも含め彼のアイデアが生かされていると言われています
バンドにとってもヒット曲となったが後続がなく短命におわるのだが
この曲のもつフィーリングと甘美なドラマは永遠に語り継がれるだろう
ブルー・アイド・ソウルね


NINJA - Invincible ★★ (2023-09-24 14:03:50)

NINJAというバンドは複数あるば、一番、音楽性的にしっかりしているのはドイツ産の彼らだろう。メタルバブル弾けるど真ん中、そこそこのメジャー感も散りばめつつも硬派なジャーマンスタイルは堅守、その男くささと洗練されすぎないロックサウンドの持つ普遍性、ウド・ダークシュナイダーの弟、ピーター・ダークシュナイダーがいたバンドなんかを思い出しますよね。
先人たちからの影響を素直に取り込み、ジャーマン流儀で煮詰めたスタイルは、個性と引き換えに手入れた安定感。このドンシャリとした音も80年代型のヘヴィメタルとして存分に楽しめますよね。もっと丁寧にやってほしいと感じる場面もあるが、派手に見せるツインギター、バラード以外は割と攻撃的な曲が全体を支配しているので、メタルの持つアッパー感、スピードとアタッキーな面が好きな人にはぐっとくる要素も多いだろう。
キメ曲一発があれば印象も変わるのだが、それでも1stとしての及第点は超えているでしょうね。それにしても知らんかった。何度か再結成してはアルバム出していたんですね。


Stos - Stos ★★★ (2023-09-14 20:35:56)

女性シンガー、イレーナ・ボル擁するポーランド産スピード/スラッシュメタルバンドの1st。ちなみにドラマーが旦那さんです。1989年にリリースされた一品ですが、これが欧州風味満点のスピードサウンド、そこにポーランド語の語感が個性を誘発、東欧的癖は少なめだが、マイナーサウンドの放つ暗さが過激なサウンドをもってかき鳴らされている。その独自性と諸先輩方の影響を巧みに盛り込み構築、女性シンガーという、当時としてはレア度の高い存在感とも相まって独自のサウンドへと昇華されてたように聞こえるのがポイント。
とは言え、メリハリのない楽曲というのか音圧やビート感に工夫が足りない、歌メロも似たり寄ったりとアラも目立つのだが、勢いで押し切れるだけの圧はまだない。
そこがデビュー作であり、実は、このアルバムを世に出した頃には解散していたという事実に驚く。2008年にMetal Mindから大量のボートラ入で復刻、配信盤はオリジナル通りの8曲だが、猛者ならばCDゲットですよね。
パンキッシュに燃え上がるスピード重視のメタルサウンド、好きモノにはたまりませんよね。


RIPPER - ...and the Dead Shall Rise ★★★ (2023-09-13 15:45:18)

アメリカはテキサスのアングラメタルバンドの1st。活動歴は70年代後半かららしいがようやくフルアルバムにこぎ着けた。怪しげなジャケットやオカルトテイストそして下記のような名前で活動

Rob Graves - Undertaker Guitars, Vocals
Death - The Grim Reaper Guitars, Vocals
Sadie Paine - Vampyre Bass, Vocals
J.D. Shadowz - Executioner Drums, Vocals

みんな何らかのキャラを演じ歌い分けているようだ、方向性はMercyful Fateのようなシアトリカルなサウンド。楽曲もSEを挟み、なんらかのコンセプトを持って展開している。ゲストキーボードも大活躍、古いオカルト映画のようなSEに挟まれ流れるのだが、正直、似たようなSEなので、それを主題とする手法でオカルトメタルを構築しているのだろう。
正直、SEのせいで流れが良くないと感じるのだが、それがないとホラーメタルにはならないのだから痛し痒しというところか?それもワタクシが英語サッパリダメなので、普通に英語圏の方ならばゾクリとさせられる恐怖の作法として効果的と感じるのかも知れません。

とはインディーズ故に訪れる薄っぺらい音、それが逆にアングラ感を演出しているが歌が弱い、誰が歌っているのかもよく分からない。ベースの女性プレイヤーが歌う場面もある、バンドサウンドが醸し出す不気味さ、その意味が分からなくとも不吉な音を出しているのは間違いないのだが、やはりメインで歌えるシンガーは必要な気がする。とは言え、皆でパートを分けホラーショーをやるというアイデアは悪くない。ガチッとハマった時の魅力は実に妖しげで引き寄せられる。
いずれにしろ日頃、メジャー流通されている音源を愛聴しているマニアには敷居が高め、そういう保証されたクオリティよりも、何か一撃必殺の魅力がある音に惹かれる、他では味わえない個性を楽しみたいという猛者には、安定のブランドサウンドとなるでしょう。
胡散臭い音だ。何とも安っぽい血糊がべったりと飛び出すような低予算ホラー映画を見ている気分だが、それが一番である。個人的にはセイディー・ペインことヴァンパイアが高音を張り上げ歌うパートが妙に耳に付く。

それにしても、こんなマイナーサウンドが配信されているのだから、マニアにはたまりませんね。


ROUGH - First Cut ★★★ (2023-09-12 16:06:38)

麗しの実力派シンガー、アニー・ウィチャート嬢をフロントに据えたジャーマンメタルバンドの1st。リリースは1988年、Steamhammerからとなりますが、これが実に素晴らしい内容で、当時の時代背景を飲み込みつつもドイツらしい生真面目さ、その硬派ながらもメロディに軸足を置き聴きやすくまとめ上げている。
女性シンガーということでドロ・ペッシュがいたWarlockを引き合いに出せるが、このバンドの方が柔軟性があり広く認知される要素を持っている。上手い唄と主張のハッキリとしたサウンドは、大衆性も完備、同郷のSCORPIONSの成功も見据え、自分たちらしい音を作り上げている。
一発これだという大技がないと言われると微妙だが、個人的には総じて及第点を超えた楽曲が詰まっており、華のある女性シンガーの存在感を引き出させている。コーラスワークの使い方やキーボードの活用など、十分、大衆性を完備しているだろう。遊びすぎず伝統を守っているという姿勢も好きですね。


Flying Vision - All Night Metal Party '84 to '85 ★★★ (2023-09-12 15:48:34)

個人的にはメタルの聖地だと思っている目黒鹿鳴館、来年移転するようだが、今作は1984年の年末に行われたライブ。Sabbrabellsに始まりReaction、Vei、Murbas、Flying Visionの5バンドが参加、当時としては女性のみのバンドというのは大変貴重であり、多くの偏見と闘い壁にぶつかりながらの活動だったでしょう。そんな中でもこの企画に参加は大きな経験だったでしょうが、デンジャークルーからシングルをリリースしてあえなく解散。正式なアルバムをリリースできませんでしたが、けして実力の無いグループではありませんでした。

いかにも日本人らしい情緒のある泣きのスタイルは、ラウドネスにも通ずるダークな英国テイストと歌謡メロディ、日本ならではのコブシの効いたハイブリッドサウンドは、十分個性的でありテクニック的にも舐められた存在ではない。
今作はカセットテープの販売とVHSしか無かったと思うが、是非とも正式な音源として復活して欲しいレア作です。

昨今、やたらと盛り上がる女性によるハード系バンド、特集雑誌が何号も重なるほど出版されるのだから、今こそ需要があるのでは?
本格派の元祖ガールズメタルバンド、媚びや色気を売らなくとも勝負できるという手本を見せてくれました。

ライブでもまとまりのある演奏で対応する実力、2009年に復活ライブのDVDをリリースしているようですが見たことがない。そもそもどんな形のライブだったんだ?興味は尽きないねぇ。
シンガーの田中志摩子はサブリナでメジャーデビューを果たすも、ちょっと違ったよなぁ。


WARDANCE - Heaven Is for Sale ★★★ (2023-09-11 13:46:53)

サンドラ・シューマッハ嬢、擁するジャーマンスピート/スラッシュメタルバンドの1st。サンドラ嬢の甘い声質に、この手のスピードメタルが適任とは思えない場面もあるが、そのアンバランス感が個性であり好きモノにはたまらん要素であろう。
ウルフ・ホフマンにも負けないぞと言わんばかりに、クラシカルなフレーズも持ち込むギター、派手に打ち込むリズムプレイの後押しもあり、楽曲に見せ場を作っている。
このサウンドに彼女である必然性を感じないのは、欠点ではあるが、その部分こそ最大の魅力と言えるのだから不思議なモノである。もっと逞しい艶のある声で聴いてみたいモノである。
バックの演奏は基本線を押さえている、その堅実さにドイツの血統を感じるが、歌が合わない瞬間との折り合いの付け方で評価も変るでしょう。スピード勝負だけじゃない、アイデアがハマった時のスケール感に将来性を感じますが、今作を残しあえなく解散。再結成するも正式な音源を残すことが出来なかった。
初期型ジャーマンスピート/スラッシュメタルが好きな人にはグッとくるでしょうね。このメロセンスにドイツを感じます。
なんか残念なんだよなぁ。何を歌っても同じに聞こえる女性シンガーのあり方が全てなんですよね。


ELLEFSON-SOTO - Swords & Tequila (Riot Cover) ★★★ (2023-09-10 15:17:51)

デイブ・ムステインと一度は犬猿の仲となるも奇跡の復活劇を果たしたデビット・エレフソン。そして例の事件で再びメガデスを解雇された。そんなエレフソンが、ジェフ・スコット・ソートと動き出したとの一報が入る。
どうなるのかと思っていたら、先行配信されたのが、まさかのRIOTのカヴァー。しかもゲストヴォーカルにリック・ヒューズを迎え、ジェフとデュエットとなる。今後はこういうスタイルでやりますとの挨拶代わりなのだろうか?不思議な気分であるが、お遊び的な面もあるのだろう、なんと言っても急な解雇だもんね。


THE BROOD - The Brood ★★★ (2023-09-10 15:01:11)

カルフォルニアのクロスオーバースラッシュメタルバンドUncle Slamの全身として知られるバンドのフルアルバム。Uncle Slamのような音を期待すると裏切られるでしょうが、これがかなり迫力のあるサウンドを展開、土着的な色の濃さもそこそこに、彼らは先人達からの影響を巧みに混ぜ込み自分たちの音へと昇華、このウネリのあるヘヴィグルーブとツインギターから繰り出される攻撃的なサウンドはインパクトがある。
後の片鱗も感じさせる場面はあるが、この垢抜けないイモっぽさも癖になるサウンドを聴かせており好きモノにはたまらん要素だ。媚びは売っていないが先人達の成功例を取り込むことで及第点は超えている。一触即発、不穏なる空気を纏い、シーンの裏街道でたむろしている。


EARTHSHAKER - 40 ★★★ (2023-09-10 14:16:40)

アースシェイカー
デビュー40周年を祝う記念碑的フルアルバム。前作から5年の間隔は長かったが、課外活動も多いメンバーが一堂に介してアルバムを作り上げたことに対してファンとしては素直に喜ばしいのですが、気になる点はある。それはマーシーの衰えだ、前作くらいから気にはなっていたが、今作では、とうとうここまで声が出なくなったのかである。しかし、その姿は実に清いモノである。オジー・オズボーンに代表されるように現代のテクノロジーを駆使すれば、アンチエイジングした声を手に入れられるのに、その手法を選ばないマーシーは男である。

このバンドらしい、皆が唄えるハードサウンドの確率。過去の威光にすがらない現役感バリバリのサウンドは攻めの姿勢を崩していないから説得力がある。海外の大御所バンドが軒並み、過去の財産を食い潰す中で、アースシェイカーは普遍的スタイルで見事にマンネリ感を打破している。
お約束と言えるマーシー節、そのメロセンスは日本人の心に刺さるだろうし、ファンにとっては似て非なるとして吸収力を損なわないアイデアと音選びに充足感を味わえるでしょう。部外者にとってはお馴染み過ぎるかも知れないが、この安定感はファンにとってはありがたいものである。
コージー・パウエルにも負けないハードヒッティングドラムの工藤、巧みなラインを操作する甲斐のベース、永川はバッキングのみならず印象的なフレーズを奏で後方支援ヨロシクな艶のあるサウンドを支えている。皆でマーシーの衰えをサポートするような優しいくもハードなバンドサウンド、エモーショナルなシャラのギターは、オーセンティックな味わいだけではない、鮮度のあるプレイも顔を出し、二枚看板の片割れとしてバンドを支える。

一度は解散もした。音楽性もおかしな時代があった。そういう紆余曲折を経て辿り着いたスタイルは実に日本的であり、洋楽志向のHM/HRではなく、完全なる日本のHM/HRである。ラウドネスの最新作もニッポンのメタルだった。時代を2周して結局は元の鞘に収まる。餅は餅屋、そんな現象が世界中で起きているように感じるが、今作は全ての時代を無駄にすること無く確立させている点は見逃せない。
もっと認知されるべきバンドである。ジャンルの垣根を越え支持される素養のある偉大なロックサウンドだ。


ROSY VISTA - You Better Believe It! ★★★ (2023-09-07 13:46:01)

Noise Recordsからデビューを果たした女性4人組によるジャーマンメタルバンドが1985年にリリースした5曲入のEP。時代的にはメタルバブル勃興前と言うこともありグラム系の匂いも隠し味程度に、ドイツらしい生真面目さと女性らしい、しなやかさを加味させたサウンドはダイナミックかつメロディアス。文句の付けようがない普遍的なスタイルへを築いている。
プロデューサーは初期のACCEPTやSINNERなどのお仕事で知られるディルク・ステフェンズの助力もあったろう、ギターワークが割としっかりしている点でも、ディルクのサポートを窺える。
硬軟交えたハードサウンドは、懐かしい時代の空気を思いっきり味わえる一品、チョイ胡散臭いのも当時のサウンドですよね。
このバンド、再結成を果たし2019年には叶わなかった1stアルバムをリリース、しかもここで聴ける5曲をリメイクしてのリリースである。
80年代型のHM/HRが好きな人ならば大いに楽しめるでしょう。女性にしか出せない音ってあるんですよね。


HORIZON - Master of the Game ★★★ (2023-09-07 12:53:48)

オランダのメロディックメタルバンドによる1st。SAVEGEのメンバーが、どういう経緯で合流となったのかイスラエル系の実力派シンガーとして知られるシュムリック・アビガルと合流、アビガルのロニー・ジェイムズ・ディオやジョン・ロートンを彷彿とさせる力強くクリアーな歌声は、この力強くもメロディアスなサウンドにフロントマンにピッタリ、泣かせの叙情性を含んだメロディな湿り気もタップリ、メリハリを効かせたドラマ性を構築することでアルバムを通して起伏があり、一枚通して楽しむことが可能。
皆が主役であり、突出した偏りの無さも安定感に拍車を掛け、とにかく上手い唄と演奏に酔いしれる事が可能。これほどのクオリティを有しながらバンドは程なくして解散。残念極まりない出来ことですよね。
適度にハードでガッツがり、そこにとどめなく溢れ出る哀愁美、メロディ派のマニアにはたまらんぞである。基本路線は硬派、これが大変魅力的であり頼りになるヤツです。
シュムリック・アビガルは、1986年にThe Rodsがリリースしたアルバムで歌っていました、そういうのが関係しているのかなぁ、なんて邪推もしますが、この歌に惚れ込んだのならば、ジャック・スターのGuardians of the Flameでも歌っているし、Pictureのシンガーでもあったのでチェックして欲しいですね。

これほどのクオリティながら無名なのは、オフィシャルな形で製品化されていないことです。埋もれさせるのは惜しいよ。


KENT HILLI - Nothing Left To Lose ★★★ (2023-09-07 12:36:50)

今はGIANTでも歌っているFrontiersレコードお抱えのシンガーによる2枚目のソロアルバム。先行公開された曲の出来映えに不安要素などイチミリもなく今回も叙情的で爽快なメロディが吹き抜けるAORサウンドを展開、彼の出身である北欧テイストも嫌味なく練り込みワールドワイドな感性に彩られた極上のサウンドを構築、どの曲がシングルカットされても、成功を収めるだろうと予感させる内容。前半から曲の組み立て方も絶妙であり、飽きさせることなく完走と流石である。まぁある意味レーベル謹製のサウンドでもある、またコレなのかと思うマニアもいるだろうが、歌モノロックが大好きな人ならば間違いなく気に入るでしょうね。フック満載のメロディと涼やかな北欧マインドに心も健やかに癒やされます。
ところで1stレビューしたつもりだったんだが?無いな?老いは怖いよ。


ANTHRAX - For All Kings ★★★ (2023-09-07 11:34:10)

なんだか落ち着かない印象を受けていたANTHRAX。出たり入ったりとどうにも騒がしいのだが、ここに来ていよいよ音楽的な形での新作をリリースという運びとなる。ギターがジョナサン・ドナイスと新顔になったが、このリードギタリストが巧者。メガデスにキコが入ってメロディックな方向性に運んだように、彼のリードプレイは実に扇情的で華のあるメロディを弾く、そのおかげでスコット・イアンのキレのあるリズムプレイはより鋭さを増し、二人のコンビネーションは上々といったところだろう。
バンドの顔であるベラドンナも自ら考えたアイデアを持ち込んでいるので無駄な力みはない、サビでもコーワスを重ねて聴き手を鼓舞、実に聴きやすいサウンドの立役者として存在感を誇示している。
高いドラマ性と、流麗に煌めくメロディ、そして攻撃性を損なわないサウンド、そこにベラドンナが持ち込んだ皆が唄える要素、お膳立て十分に揃ったということだろう。
何でもありのバンドだったので、彼らが時流に合わせて方向性が変ることになんの疑問もない。2016年という時代背景を考えれば、この作風はまさに乗ってきたと言うことなのだが、ラップメタルに辟易していた初期のファンにとっては待ち望んだ、新旧の魅力を携えたハイブリッドアルバムでしょう。
メロディックメガデスがイケるなら今作も問題なしでしょう。でももっとキレキレのヤツを期待したい気持ちは分かりますけどね。
アンスラックス流パワーメタルです、正直、安易な回顧作ならばどうなるかと思っていました。そりゃそうでしょう、時流に合わせて何でもやる男達だったんだからさ。


ANTHRAX - Worship Music ★★ (2023-09-06 13:21:46)

ジョーイ・ベラドンナが復活したぞとニュースになったが結局抜けた。後任にダン・ネルソンを迎えるも結局、ジョン・ブッシュを挟んでジョーイが戻ってきた。なんだか落ち着かない印象を受けるが、ジョーイの声を採用するなら、オシャレ番長は卒業するのかなぁと踏んでいたのだが、どうやらダン・ネルソンとアルバムを作っており、ジョーイ・ベラドンナのアイデアが生かされた作品では内容だ。

元々、流行に敏感なバンド。時代の流れを意識し、メタルバンドだなんて思えないような作風に変節していったが、ジョーイを迎え戻ってきた印象を強めた。時折聞こえる初期の頃を彷彿とさせる刻み、そしてジョーイの見事な歌いっぷりに引き寄せられる場面は少なくない。しかし、それは流行の音楽という範囲内の出来事であり、安易な復活劇とはほど遠い作風である。
若いバンドに紛れても遜色の無いバンド、個人的にはそういう印象が強かったので、今作の作風は大いに支持できる。今のメタルを聴いている若い人には丁度良い古典を交えたサウンドだろう。まぁ支持は出来るが好物ではないけどね。


SAVAGE GRACE - Sign of the Cross ★★ (2023-09-06 13:05:40)

アメリカンメタルの裏番長としてスピード狂から愛されたスピードメタルバンドの復活作。配信盤で数曲先に出ているので、予測は出来た。プエルトリコ出身のシンガー、ガブリエル・コロンは完全にハルフォードタイプで、そのクリソツぶりに驚く。ちなみに現在Lynch Mobでも歌っているという事実に二度驚く。
シンガーの声質を意識したのかは分からないが、個性的で癖の強かった独自性の高いサウンドはここでは顔を出すこと無く、実にオーセンティックなサウンドへと変換されている。上手いか下手かは別として、強引な展開も含め好きだったのだが、1stから2ndへの流れもバンドサウンドは変節していた、そう考えるとこういう歌を前に出した正統性の強いHM/HRへと進んだのは想定内ということなのだろう。
曲間に流れるSE的な音楽やコメントがあり、恐らくなにかしらのコンセプトをもったアルバムなのだろう。

プレスラッシュみたいなイメージで向き合うと肩透かしを喰らうがハルフォードを迎えJP+メイデン的な音楽性へ向かうことに違和感は感じないが、ファンの多くはスピードとテンションの高い演奏を求めるだろう。個人的には、コレじゃない感は拭えないのはマイナスな気がする。


SKAGARACK - Heart and Soul ★★★ (2023-09-02 17:37:34)

チョコチョコと先行配信を行っていたトーベン・シュミット率いるデンマークのメロディックメタルバンドによる復活作。正直、名盤『hungry for a game』みたいな路線では無いなと言うのは先行配信で聴いていたので驚きはないが、70年代的なグルーブ強めの曲調に甘い旋律を絡める仕事ぶりは流石はトーベン・シュミット。単なる回顧録的な復活ではなく現在の姿で再度降臨と行ったところなのだろう、もう少し叙情味が欲しいというファンもいるだろうが、個人的にはトーベン・シュミットの声が随分と枯れた味わいが増え、熟成されすぎた感はあるのだが、彼のヴィンテージヴォイスとグルーブ強めのAORサウンドの相性は悪くない、むしろ声質に合わせたと言えるのだが、それに聴きすすめる打ちに、このバンド特有の北欧的なフックのある冷ややかなメロディに、人肌を吹き込むトーベン節にグッと引き寄せられます。
往年のスタイルに固執すると、こうなったかと思う人もいるでしょうが、個人的にはこれはこれで大ありです。気になるのはトーベン・シュミットの衰えくらいですが、中盤くらいから慣れましたね。慣れさせるくらい良質な楽曲とメロディがあるというのがポイントです。今作を機に聴いたことのないBIG TIMEにも手を出そうと思いますね。
ギタリストの枯れた味わいのギターもイイねぇ。今作の古典的なサウンドには適しています。派手さや分かりやすさではない滋味深い味わいで勝負してきた復活作は等身大の魅力で詰まっていますよ。


U.D.O. - Touchdown ★★★ (2023-09-02 17:07:23)

ウド・ダークシュナイダーの活動意欲には頭が下がりますよね。もう70歳過ぎのおじいちゃんですからね。このバンド、常にACCEPTとの比較という十字架を背負わされるというのか、類似性という呪縛から解き放たれることの無いバンドでしたが、そういう議論がいかにくだらないかが今作を聴けば理解できるでしょう。
今の若い人にとっては古典も古典のクラシックメタルである。今回はミックスの段階で80年代的な煌めきも視野に、全盛期のスタイルを見つめ再度、精練し直しているという作業だろう。キャッチーで耳馴染みの良いメロディ、そこに絡む重厚なコーラスワーク、④では中盤の突如、トルコ行進曲まで突っ込み完全にやりに行っている。本家よりもACCEPTらしいと言わせるのはウドの声があるからだが、個人的にはデヴィッド・リースを下に見たこともないし、現在のヴォーカルであるマーク・トーニロに関しては、よくぞ大役を降りずにやり切っていると感謝すらしている。
そういう意味でも今作に対するネガティブな感情は湧き起こらないのだが、こういうサウンドメイクになればなるほど類似性の比較は免れないだろう。それをいい意味で受け止められたならば最高傑作となるのだが、いずれにしろヘヴィメタルというジャンルにおいて、これほど忠誠心の高いバンドはいない。全13曲で53分というランニングタイムの集中力を切らさないところを攻め視聴感も上々、黄金期のそれに肉薄するサウンドを作り上げた彼らには賛辞を送りたい。ピーター・バルデスがバンドにいるという効果もあったのかなぁ?なんて考えちゃいますね。
聴きやすいわ。分かりやすいわ。適度にハードでヘヴィでキャッチー、そして派手目のソロも盛り込み起伏のある展開を作り上げています。迷いを感じさせないU.D.O.サウンドの強み、見事に炸裂しましたね。古いだけじゃないのもイイよね。


BLINDMAN - BLAZING CRISIS ★★★ (2023-08-31 09:29:27)

一時期、イケメンヴォーカル岡本清治とREDRISEを組んでいた中村達也、このバンド、どこか危険な匂いが個人的にはする。いつまで続くのだろうか?よく分からないが高谷学と中村達也の相性は抜群だが、ライブなんか観ていると、どこか危うさが漂うのが不思議な魅力だった。しかし、こうして出している音を聴いていると、そんな不安な要素は皆無。
中村達也のキレのあるエモーショナルなギターは、曲に合わせ攻撃性もUP。モダンな匂いもかすかに嗅ぎ取り、2012年の古典メタルを完璧にやり切っている。ある意味、国籍やジャンルを超えた普遍的なロックの魅力。良いメロディとノリの良さ、躍動するリズムとダイナミズムはロックの生命線、そこに叙情的なメロディのギターが鋭く切り込んでいくのだから、ガツーンとやられますよね。
このバンド、もう一つの顔、高谷学もスムーズに歌い上げ、彼の欠点とも言うべき暑苦しさを絶妙なバランス感覚で回避、熱を帯びたエモーショナルヴォイスはエロスと言ってもいいくらい官能的な面も際立たせ濡らせてくれる。

現代的なフィルターを通した古典ロックの旨味、細部に拘ったアレンジとプロデュースが冴える渾身の一枚であろう。


SABBAT (日本) - The Dwelling -the Melody of Death Mask- ★★★ (2023-08-31 09:07:38)

邦題なのか『怨吐宿音』ジャケに書かれた日本語、正直英語のタイトルと関係ない気がするのですが、とにかくあの4文字を見てから今作を聴いたから呪われるのではと思いますよね。チョットしたジャパニーズホラームービー的な禍々しいジャケ&タイトルにゾクリとさせられますが、出している音も実に禍々しくも美しい孤高のサバトサウンドを展開。

日本は勿論だが世界中のカルトマニアから敬愛と尊敬の念を持って敬われる日本が世界に誇るデス系バンド。その筋金入のサウンドは、なんていうの?アンビエントとかなんとかいうのような、キーボードを使い安易にキレイなパートを導入して陰影のハッキリしたコントラストを描き、正に戦隊モノの悪と正義の対比のような、メロデス系的手法はとらず、アイデアと音そのもので勝負を掛けているのがポイント。
テクニック的な面で圧倒するのでは無く、その構成力、ダークでサバスティカルなサウンドメイクと徹底した邪悪なる美意識、その闇夜に息づく静謐なる静のパートも盛り込みつつ、大半は瘴気にまみれた暗黒サウンドが全体を支配、いかがわしくも見たモノを誘う魔女の儀式、招かれた暗黒の世界は血塗られた儀式だけにさにあらず、深遠なる精神の世界へ聴き手を導き覗いてはいけない理の世界へと、深く落とし込んで行きます。

90年代にリリースされたとは思えない古めかしいサウンドメイク、その古典的なスタンスに根ざしたサウンドは、初期の頃から一貫したスタイルであり、ある意味、オリジネイターとしての威厳と言いますか?自分たちの音を持っているバンドの強みを誇示している。
従来はもっとダーティーな面も強いのだが、コンセプト的な側面から見ると、この世界観に違和感は全くない。
時代を超越したパワーが音に宿っている。圧倒されました。ようやり切りましたね。

たった一曲で構成されたアルバム。60分持ちます?そのアイデアと凄みに圧倒されますね。
この糞暑い夏に、心の底からひんやりとした気分を味わってはいかがでしょうか?どこか土着的な怨念を感じさせるのも日本のバンドならではの味わい、禍々さに中でひんやりとした手触りの美意識の高いパートに息を呑み、そして地獄の底から這い出る魑魅魍魎達が闊歩するヘヴィグルーブに戦慄、聴き手は魔の世界へと旅立ち命を削る危機と直面しながらも、殺戮の怨吐宿音へとのめり込んで行くでしょう。禍々しくも美しいサバトの世界。夏の風物詩にならんかね。


JADED - Jaded ★★★ (2023-08-29 08:58:35)

女性4人組によるHM/HRバンドの1st。最近、ヴァッケンのステージに立つVIXENの映像を見て思い出しましたね。ドラマー以外は違うメンツになったVIXEN、もう名乗って良いのかという疑問もあるが、骨のあるステージに文句を付けても始まりませんよね。そのVIXENで今、リードギターを担当するのが、今作でもギターを弾くBritt Lightning。彼女のギターワークも素晴らしいが、強固なリズムワークと確かな技術の歌声、そういう土台がしっかりしているから、全てが成立するのですよね。
時折、光るシュレッダーもゴン太サウンドあってこそです。
2006年という時代背景も無視する事のない現代的な音作り、だが古典を押さえた作風は、ボストンという地盤が生み出したサウンドでもあるのだろう、古くて新しいガチンコメタル。当時よりも今の方が評価されるだろう。芯のある硬派さにまぶしたグラム系サウンドの配合比、大正解である。


JUDAS PRIEST - 5 Souls ★★★ (2023-08-29 08:31:46)

1.Snakebite
2.Tears Of Blood
3.Creatures
4.Bring It On
5.Never Forget
上記楽曲が収録された2014年にリリースされたアナログ盤のEP。アルバムRedeemer of Soulsの2枚組デラックスエディション盤に収録されている作品なのだが、これが実にいい。ボーナスとトラックやボツ曲などと言われそうな立ち位置だったのだが、正直、本編よりも印象に残る作風だ。5曲というのも良かったのだが、元々、中低音域に魅力のあるロブの歌声、その熟成された歌声と、古典メタルとの相性に疑いの余地など一切無い事は百も承知なので、無理をせず、テクノロジーの恩恵に頼りすぎている感を出さない聴かせ方は正解だろう。厳つく走るだけがメタルではない、このバンドが持つ威厳、そして伝統と作り上げた数々の功績、彼らがメタルの雛形を作ったのだから、何をやってもJPはJPなのである。セルフパロディのようなFIREPOWERが現在は最後のアルバムだ、彼らにはもう一度、花を咲かせて欲しい。過去をなぞるだけのファンの慰みもでは寂しいじゃないか、こういう作風はすぐに作れるだろう。
それはオリジナルの強みである。自らのルーツとビルド&スクラップしたサウンドは安心感に満ちあふれている。
5曲入ってのが丁度良い。安心するね。癒やされますね。JPにモダンなのは似合わんよ。


MEDINA AZAHARA - Medina Azahara(1st) ★★★ (2023-08-27 17:10:02)

伝説のスパニッシュメタルバンドの1st。リリースは1979年という事でプログレ系からの影響も強いスペインらしい情熱と悲哀のあるメロディが混在するサウンドを展開、パープル、ユーライアヒープといったバンドからプログレ系まで飲み込んだロマン溢れるハードスタイルは、一口では形容しがたい魅力があり、垢抜けないサウンドミックスやスペイン独特の歌い回しと相まって、ポルトガルでいうところのファドですよね、どこか暗く悲しいのだが、熱がある。独特の世界観を音に宿していますよね。
英米では出せない味わい、そのお国柄の滲み出たパッショネイトサウンドが知的にエモーショナルな感覚と伴い幾重にも折り重なりドラマを形成、孤高の存在へと昇華していきます。
インストパートも難解な要素はなく非常に聴きやすいです、高揚感のあるメロディと飽きさせないアレンジとテクニック、それと望郷なんだよなぁ、あの独特のメロディ、フラメンコ的なヤツね。そういうものが混在するのが魅力なんでしょうね。
上手い言葉がみつからん。ワシにはわからんアホじゃけぇ。


OBÚS - Prepárate ★★★ (2023-08-27 16:33:38)

元祖スパニッシュメタルと呼ばれる大御所バンドの1st。NWOBHMからの影響も滲み出るハードブギースタイルはAC/DCからSAXON系の軽快なサウンドを展開、ノリの良さと適度な重さ、ブルージーな味わいだが小気味よく疾走するサウンドは、まさに初期型スパニッシュハードサウンドとも言える魅力が満載、BARON ROJOなんかもそうだと思うんですけどね。
今の感性で聴けば、音質も良くないし古くささは否めません。しかし伝統芸能とも言うべき古典サウンドの旨味を味わえるのも今作ならではの魅力。シンプル故にごまかしの利かないサウンドは、この時代ならではの背景が生み出したオリジナルティというものに彩られており、定番だからこそ感じ取れる安心感と適度な刺激が心地よく耳を刺激していくでしょう。
スペインのメタルシーンがけして遅れていないと言うことも確認出来ますよね。日本だと、もっと違うバンドが認知されているでしょうが、スパニッシュメタルの礎を支えたのは、このバンドですので興味のあるマニアは是非ともチェックして欲しいですねぇ。
今も現役のばんどですのでね。


MANIMAL - Purgatorio ★★ (2023-08-27 16:19:44)

北欧のメロパワ系バンドの3枚目。見た目はコープス・ペイントしてるんですけど、トラディショナルなサウンドを展開。AFMレコードからのリリースという事もあり、ポジティブな空気の漂うお得意のヤツです。オープニングナンバーなんてジャパメタ系とも言える楽曲を披露したりと、お手本となるバンドのスタイルをしっかりと継承、血となり肉となる栄養素を蓄え素直な感性で解放、その筋のスタイルが好きな人にはたまらんでしょう。
クサいメロディも大好物というマニアも多いでしょうね。サウンドメイクも古さは無く現代的なフィルターを通しているので全世代をターゲットに出来るスタイルに仕上げています。
個人的にはAFMから出てくるバンドはチョイとハズいのが多いので激ハマりとはならないが、欧州型メロディックパワーメタルマニアには外せないバンドでしょう。北欧なのでメロディにもフックがあり聴きやすいですよ。


VANDENBERG - Sin ★★★ (2023-08-26 14:03:05)

奇跡の再始動と喜ばれるも、ヴォーカルにロニー・ロメロを迎えての復活だった。胸毛ボーボーの暑苦しいロニーでは繊細なサウンドは期待できず、ある意味、お得意のブルージー路線もねじ込みつつの前作。おもてたんと違うが、それでも眠たくなるようなブルースおじさんとは違うアプローチだったのは素直に嬉しかった。

で、今作だがリリース前にヴォーカルがマッツ・レヴィンに変更、先行された曲でも既に聴いているので、今作の方向性は見えている。
オープニングナンバーではマッツが予想以上にカヴァデール風に歌うので驚いたが、今作はマッツのガッツ溢れるエモーショナルヴォイスを前に出したダークな欧州路線へと舵を切っている。
キーボードの使い方も変り前作とは方向性は違うが、繊細なヴァンデンバーグ節は今回も期待できず、往年のファンが待ち望んだものとはニュアンスは違うが、ギターソロにおける一瞬の煌めき、その閃光に魅了される場面はあり、インプロ中心という作りと計算されたパートの配合に、もう少しドラマを持ち込んでくれたならば、もっと往年の姿を見せつけることも出来ただけに残念な気分ではある。

このバンドは難しい、全盛期の頃からカラッとしたアメリカン路線をやるかと思えば、独創的なフレーズが耳を惹く自由奔放なギターが魅力だった。英米のバンドとは違うメロセンス、アコギとエレキを交えたドラマ、そしてテクニカルな、ワウを咬ませたマイケル・シェンカー風味も様になり、とにかくカッコイイギターヒーローだった。
もうそういう路線には戻らないのだろうが、彼の魅力は眠たいブルースじゃない。
その本質にもう一度目を向け、復活して欲しいですね。求められるのはホワイトスネイクかも知れないが、このバンドで残した数々の名曲は、今なお色あせる事無くファンの胸に刻まれているのでね。


FORCED ENTRY - Uncertain Future ★★★ (2023-08-23 08:08:29)

テクニカルスラッシュメタルバンドとしてマニアから一目を置かれるバンドの1st。やはりシアトル出身というのが背景にあるのか、他のバンドでは味わえない独特の感性と世界観を感じさせるのがポイント、スリーピースとは思えない密度の濃いサウンド、だがけして難解ではなく耳を好奇心で満たしてくれるアグレッションも有しており、先の展開を読ませないのはスラッシュメタル特有の魅力。そういう意味でもこのバンドは及第点を難なくクリアー。当時シーンの最右翼にいたTestamentやExodusを凌駕するほどの威圧感がある。
背景的にもVio-Lenceとかが出てくる前触れもあったから、シアトルのハードシーンという、ベイエリアとは違う環境が、こういう音を形成しているのだろう。
何度も繰り返されるリズムチェンジ、そのスムーズな行いは奇跡的な渋滞を免れる交通網のように痛快なスッキリ感を有しており、聴いていて実に心地が良い。
時代的に飽和状態と化したスラッシュメタル、レーベルのCombat Records的にも不安定だったのだろうか?国内盤のリリースも無かったので、認知度は低い。しかし、これから巻き起こるであろうシアトルサウンドの礎となるバンドでもあったわけだから、資料的な価値も十分高い。重々しいヘヴィグルーブとは一線を画すテクニカルスラッシュ、しかし、クールな感性には共通する部分もあるのだろう。

また、ギターサウンドやリズミカルなグルーブなと時代を先取りした感も実はあったりと、改めて聴くと興味深いバンドであった。
アメリカのアングラシーンでは話題になったに違いないなぁと勘ぐりますよね。


Werewolf Babys - Circle of Doom ★★★ (2023-08-22 13:55:41)

女性4人組によるダイハードなメタルサウンドを信条とするバンドのフルアルバム。リリースは2016年、ラストにはRunawaysのカヴァーCherry Bombを収録しているようですが、配信盤ではオープニングのイントロとカヴァーをカットしているので未聴ですが、CDは全9曲入ですね。
関東圏を中心に活動をしていると言うことで、ドライですよね。妙な癖も無くストレートに鋼鉄サウンドを鳴らしています。ドスを効かせ歌い込むシンガーのNana狼女の逞しさ、頼りになるシンガーですが、楽曲によってはポテンシャルを持て余している感があり、改善の余地もあるが、いずれにしろ女だからと舐められる要素は皆無。それはバックの演奏からも感じされる要素であり、頼もしい限りだ。
とは言え、歌を前に出したミックスは、個人的にはダイナミズムに欠ける面があり、せっかくド迫力のコアなメタルをやっているのだからと言いたくなるのだが、一見さんには優しい音であり、メタル初心者にも取っつきやすい面を強調したと言えるでしょう。

数多いる先駆者達の足跡を辿り踏み鳴らす強靱なリズムとサウンド、全てが噛み合った時のパワーと破壊力は相当なモノであった。
シンガーとギターの事はよく知らないが(これだけ歌言える女性シンガーは今まで何をやっていたのだろう?)ドラムのRoku狼女は、メロディックメタルバンドSeirènでドラムを叩き、その昔はCarmillaのドラマーだ、そして今作でベースを弾くManami狼女はCarmillaでコンビを組んでいた二人じゃないですか、バンド紹介ではクレジットされていないし、紹介された文面を見たことがないのは何故でしょう?あんまり良い思い出じゃ無いのかな?
なんてゲスな勘ぐりをいれたくなるのですが、今作を聴けばCarmillaに通ずる部分あるよなぁ、なんて思いましたね。
バンドキャンプから大手配信サイトでも視聴が可能、自主制作ですが、販路にぬかりなしなので、お暇のある時にでも聴いて欲しいですね。


BELLADONNA - Belladonna ★★★ (2023-08-21 10:39:14)

ANTHRAXを解雇されたと記憶しているジョーイ・ベラドンナ。しばらく音沙汰が無かったのだが、無名の新人を引き連れ自身のバンドを結成。1995年に今作をリリースとなるのだが、個人的にはシャリシャリとしたギターの音が好きになれず、ほとんど聴くことがなくラックの底へと潜っていった。
数十年ぶりに聴いたが、やはりギターの音は苦手だが、グランジ・オルタナ全盛の時代に自分の音で勝負していた事実に驚いた。古典的なクラシックアメリカンパワーメタル/スラッシュサウンドは、過激に走る分けではないが地に足の付いたパフォーマンスで魅了。なにより、今聴いても古さを感じさせない独特の世界観を有しており、これは古典に根ざしただけでは無い、新時代を迎え撃つ気概が音に乗っていると言うことだろう。ちゃんとモダンさも取り込む、そこにベラドンナの風格のある歌声が、圧倒しているという状態が音に現れている。
とは言え、キメ曲一発がないというのか、ベラドンナの歌が前に出ているが、けしてメロディックではないというのは、いささか日本人の耳には退屈に聞こえてしまうのだろう。個人的にはストレスを感じないのだが、おもろないという人の気持ちも大いに分かる。

スラッシュメタルの世界でもメロディをしっかりと追いかけ力強く歌い上げる彼が、ラップやミクスチャー系が似合いとは思えないので、ここで聴ける歌声こそ彼の魅力なんだろう。
そして久しぶりに聴いたが、このミックスは苦手である。


Valkyrie - Attack of the Valkyries ★★★ (2023-08-19 07:05:57)

大阪が産んだ伝説のガールズスラッシュメタルバンド、何度か復活劇はあったようだが、令和に入ってからは音源もリリースと本腰を入れて動き出している。今回ベースが交代、その関係もあるのか分からないがバンド名をVALKYRIE ZEROに改名、待望に2枚目のアルバムを今年の6月にリリースしてきた。

いやー、これがストレートなヤツなんですよね。小細工無用のオールドスラッシュサウンド。往年のバンド達の初期作に通ずる音楽性とアイデンティティ。大金持ちになる前のピュアなサウンドを今の時代に降臨です。
よく、メタリカやメガデスの作品を凄い、傑作だ、名盤が神だと大騒ぎする輩に出会いますが、大概は雑誌の影響下&大御所という威光に乗っかるだけで、全く芯を喰った意見を聞いたことがありません。
そこに売り上げや観客動員数など加味されたら、もうお手上げです。音楽の善し悪しに関係ないはずなのに、メタルの世界ほど、同調圧力と名前に弱いジャンルはないなぁと思いますね。特に日本は顕著でしょう。レビューで全てが決まります。

そういう、人には一生、届かないバンド&音でしょうが、ピュアにメタルを愛する人、スラッシュメタルが大好きな人にはたまらん音を、このバンドは轟かしています。技巧的に優れている分けではありませんが、音そのものにスラッシュメタルに対する愛と真摯な姿勢が貫かれており、そこに嘘偽りは一切介在しません。ましてや、ヒットチャートに一発なんて下品な発想は一切なく、等身大の音を詰め込んでいる。ある意味、似たような曲調が続くので、リピート再生するうちに飽きのサイクルも早いのだが、その実直な音のファーストインパクトは相当高かった。

何度も言うが権威主義とメタルは最も相反するものだと思っていたが日本では最も親和性の高いものだった。
頑張れVALKYRIE ZERO、自分タチの音を知って欲しければ、まずは配信盤をリリースするべき、純粋な海外のファンに知って貰うべき。
日本はCD販売をいまだメインで行う希有な国。アメリカにタワーレコードはなくなったはずである。そういうガラパゴスな思想を切り替えることも重要。第一、彼女達の作品でメジャー流通じゃないでしょう?


TRUE BRITS - Ready To Rumble ★★★ (2023-08-11 22:28:28)

Jimco Recordからリリースされた謎のコンピレーションアルバム?それともバンドなんだろうか?リー・ハート軍団とも言えるお馴染みのメンツが顔を揃える企画モノ的な作品。参加メンバーやリードシンガーも楽曲毎に代わり作曲クレジットもバラバラ、デイブ・センザックなんて渋いところから、FASTWAYでお馴染みのクリス・オショーネシー、等々も含め、既に世に出た曲や、後からリサイクルされる楽曲もあったりと、調べるのもめんどくさいので割愛しますが、その節奏の無さに驚かされます。

リリース時はまだ、そういう事情も知らないのでフレッシュな気持ちで向き合えるが、今となっては微妙です。しかし、そういう背景を知らなければ、派手さには欠けるが味わい深い英国ハードサウンドとして楽しめるでしょう。
やはり、ポール・ディアノが歌っていたり、ジョン・スローマンやRAINBOWに抜擢される前のドゥギー・ホワイトの歌声が聴けたりと、発見はありますよね。また経緯は分かりませんがアナログ盤には収録されたかったポール・サムソンのソロアルバム、Joint ForcesのCD盤に収録される⑪など、変わり種もありますので、ダメだこりゃと捨てきれませんよね。

92年という新しい時代を前に、日本でのみリリースされた今作。苦しい時代はアーティストのみならず、リスナーもそうだったという事なんですけどね。英国ハードシーンの残党組による意欲作と思えるか、寄せ集めと感じるかで評価も大きく分かれますが、懐かしい時代を回顧するのも悪くないですよね。
うつろいでいく当時のシーンを思い出しますわ。


FASTWAY - On Target - Two Hearts ★★★ (2023-08-11 20:55:20)

リー・ハートですねぇ
弾けるハードポップナンバー
こういうの作るの得意だったよなぁ


FASTWAY - Waiting for the Roar - Kill Me With Your Heart ★★★ (2023-08-11 20:51:01)

大胆な切り口で変貌を遂げたバンドサウンド
シンセを大導入した今作などを聴けば
心の準備は出来ただろう
バンド名や参加メンバーに拘らなければ何の問題もない
哀愁のブリティッシュハードポップナンバー


DAVID BYRON - Baby Faced Killer (2023-08-11 20:46:25)

死後、フィーチャーされることのないバイロン。今作などを聴けばロックファンに勧めるのは難しい作風である。特にアフリカンなリズムを大導入したディスコ調の曲などを聴かされればぐうの音も出ないハズである。

当時の彼を取り巻く環境、酒に溺れボトルを離せなくなった男の末路と言うことなのだろうが、なんともロックな人生である。全曲ダメではない。十分、彼の歌の上手さを堪能出来るナンバーはある。

ヒープも多様性のあるバンドだった。そういう側面を受け止められるファンならば大いに楽しめるだろう。


CRACK JAW - NIGHTOUT ★★★ (2023-08-09 21:26:52)

アーバンな魅力を携えたジャケを見れば、AOR系のメロディックメタルを想像しましが、出している音は典型的なメタルサウンド。スコーピオンズやJPといったバンドの成功例を踏まえ作り上げたサウンドは、時折アイデアの渋滞を起こしスムーズに進まないなぁ、なんてぎこちなさはあれど、そういう不満を抑え込むだけのパワーと王道スタイルに帰還する素直な姿勢が好感を呼び、バラエティ豊かな楽曲を揃え守備範囲の広さをアピール出来ている。
1985年という時代背景もそこそこに、よくできているのだが、ヴォーカルの弱さがどうしても焦点をぼやかしているのが難点。インスト込みの10曲で36分というランニングタイムが示すように、コンパクトな楽曲が多く視聴感を良くしている、またドイツのバンドらしい生真面目さ、ジャケが示すような洗練度、スリージーさやルーズさのない曲調は欧州のバンドらしい魅力と言えよう。もうちょい歌いこなしてくれたらなぁ、とないものねだりをしてしまうのですが、それくらい充実した楽曲を揃えています。

このバンド1985年にアルバムを出して終了。2016年にアルバムをリリースするのだが、80年代の続編を出せればもっと認知度は上げれたでしょうね。パワー漲る疾走パートのかっこよさなど、ぐっと拳に力が入りますよ。


PANTARA - Pantara​-​84 ★★★ (2023-08-06 14:25:34)

New Renaissance Recordsからリリースされた女性ミュージシャンにスポットを当てたコンピ作Ladykillersに参加した全員女性のメタルバンドによるデモ音源。よもや、このようなレアモノが2021年に世に出るとは驚きですね。
4曲入ですが、残念ながらコンピ作に提供したTorn Awayは未収録です。ニューヨーカーらしい乾いた感性、そのヒリつきと女性らしい、しなやかさと繊細さを加味したサウンドは、単なる思い出作りでは終わらない可能性を秘めていた。
時代は1984年、まだまだ女性に優しい時代ではなかった。それだけに彼女達の苦労は並大抵ではなかったろうが、こうして世に出た事は喜ばしい事である。
配信盤だけなんだろうけど、アメリカじゃCDなんて売ってないからね。


CHER - Heart of Stone - If I Could Turn Back Time ★★★ (2023-08-04 18:44:24)

よう厳格な海軍がこの衣装のPV撮影を許可したなぁ?と驚きを隠せないほど大胆なV衣装です。
レコーディング当初は歌いたくないとダイアン・ウォーレンにダメ出しをしていたと言われる一曲。
でも売れたんだから何が起こるか分かりませんよね。
アメリカ人が好きそうなロックですよねぇ。


Emotional Fire - Will You Be There ★★ (2023-08-04 18:34:06)

Spotifyからオススメの新譜と言うことで知ったのですが、北欧の女性5人組によるメロディックロックバンド。
①Will You Be There
②Breaking Me 
③Your Time Is Gonna Come 
④Emotional Fire
上記4曲収録されていますが、①以外はカヴァーソング、ひょっとすると私が知らないだけで①もカヴァーなのか?と思わせるほど、コピー大会をやっていまうす。②はBucks Fizz ③はラス・バラード ④はダイアン・ウォーレン、マイケル・ボルトン、デスモンド・チャイルドがシェールのアルバムに提供した一曲。マイケル・ボルトンジョー・リン・ターナーが歌うSUNSTORMなどがカヴァーしている有名なヤツです。

北欧メロディックハードバンドだけに取り上げた曲に違和感はなく、むしろフィットしている。デスモンド・チャイルドの曲は割とハードだし、壮麗なメロディックサウンドの中で異彩を放っている。
選曲のセンスは褒めるがオリジナルではないので、そのあたりはオリジナルナンバーを敷き詰めた次作以降に期待をしたいところだが、このやり方はけして間違いではない。
このバンドのお客様は今の若い子供達ではない、成熟した大人を相手にしている。それだけに、手始めに一定の世代に刺さるような楽曲をチョイスして世に出しているのだ。
明確な音楽性を打ち出したサウンド、そして有名な曲をバンド名に込め音楽性を託したと言える。個性はないが、方向性の見せた作風。北欧から爽快でメジャーな風を吹かせたサウンドが登場した。


Presence - Presence ★★ (2023-07-30 21:22:10)

あれ?他のユーザーのコメントがないぞ?ワシも初めてだったかな?サーバーの関係で吹っ飛んだんでしょうか?南無阿弥陀仏。

イケメンギタリスト白田一秀が死去したと言うことで、哀悼の投稿となりますが、正直、このバンドは熱心に聴いたことがありません。
ある意味。ジャパニーズメタルシーンの悪いところを印象づけるような、軽やかなファッションと明るい曲調が好きになれずに、ほぼスルーしていたのですが、数年前に昔のライブ音源を聴いてメジャー前の印象は大きく違うモノでした。
もっとブリティッシュしていたんですね。根暗は曲もやっていたしね。
RAJASのギタリストでもあった白田一秀を、後にJudy and Maryで大金持ちになる恩田快人と、人気女流漫画家の旦那となった実力派シンガーの西川茂に誘われバンドは本格的に動き出す、ちなみに映画『魔女卵』で Lucyをやったりと、アメリカン志向が強かったバンド。
個人的には、そこに余りはまれず、REACTIONをさらに軟弱にしたバンド、メジャーデビュー後の浮ついた衣装や、軽めの曲が多い印象しかなかったが、何十年ぶりの今作を聴き随分と印象が変った。
確かにアメリカンなハードサウンドではあるが、思いのほかハードに展開しており、次作以降のドライさも少なくタイトでしっかりとした演奏が耳を惹く。白田一秀も荒削りな面はあれど非凡な才能を披露、若いギターヒーローの登場である。

アースシェイカーはもっと情緒があって湿り気があるのだが、このバンドは同じ皆が唄える曲をやっているが、カラッとしている。そこは趣味趣向の問題で、泣いているのは苦手ですという方には、こちらのバンドの方が付き合いやすいでしょう。
また女子ウケしそうな温和な雰囲気も良かったのかもしれません。そういう意味ではマネージメントの戦略は正解だ。
だとしたら今作は本格派過ぎるだろう。でもダイハードなメタルファンからは手厳しい評価を受けるでしょうね。
多分、歌詞の世界観も影響しているなぁ。

デビュー作ながら、多様な音楽性をパッケージした一枚。可能性を試したという側面はあるのだろうが、散漫な印象を与えることはありません。また日本のバンドにありがちな歌が弱いという点もクリアーしているので安心して聴いてられますね。

でも細かい点をいうとチューニングとか気になることあるけどね。


WRABIT - Tracks - Soldier of Fortune ★★★ (2023-07-30 20:25:32)

前作とは趣向を変えてきたのかなぁなんてイントロ聴くと思うのですが
歌が始まった瞬間に哀メロの世界へと一気に引きずり込みます
硬軟のバランスに秀でた一曲
いいフィーリングの歌ですよ
バンドアレンジも流石
良いバンドですねぇ
コーラスの使い方もSTAX風でしょうか?
先を読ませない展開も良いですねぇ


WRABIT - Tracks - I'll Never Run Away ★★★ (2023-07-30 20:19:58)

STYX風ですよね
スケールの大きな曲です
コンパクトにまとめていますねぇ


WRABIT - Tracks - Run for Cover ★★★ (2023-07-30 20:13:33)

このバンド屈指のハードナンバー
エッジの効いたギターリフと派手目のリードプレイ
力強い歌声も頼もしい限り
いかにもカナダらしい雄大で大陸的なリズムと華麗なメロディ
軟弱に聴かせないが親しみやすいポップセンスも導入した名品
掴みとしては予想を裏切ってきたので今作に対する掴みとしては最高でしょう
このアルバムどうなるの?大正解ですよね


BANGALORE CHOIR - On Target ★★★ (2023-07-30 20:06:20)

もっと大衆に受ける曲をやるには、ウド・ダークシュナイダーの声では無理だと判断されバンドとマネージメントは話し合いを重ね盟友ウド・ダークシュナイダーを泣く泣く解雇。ロブ・アーミテージ、マイケル・ホワイトを試すも、結局後任に迎えられたのは、無名のアメリカ人シンガー、デイヴィッド・リースだった。短命の終わったACCEPT。

いきなり失業したデヴィッド・リース、アルバムも手放しの絶賛とはならず、またACCEPTらしくない=お前のせいという言われなき罪をなすりつけられ、すっかり戦犯扱いを受けるのですが、その数年後、グランジブームが巻き起こるシーンを横目に復活。HERICANE ALICEのイアン・メイヨーとジャッキー・ラモスとバンド結成、当初はジョーイ・タフォーラがギターを担当するという話で進んだが、最終的にはギターチームにRAZORMAIDのカート・ミッチェルとジョン・カークを迎え入れ活動。プロデューサーにマックス・ノーマンを迎えアルバムをリリースとなる。
マックスらしいメタリックな質感を残した賑やかなサウンドはメインストリーム寄りだが、けして軟弱な要素を抱かせない芯のある華やかさは、時代を問わないクオリティを堅守。レーベルサイドも、埋もれかけていた曲をかき集めるかのように、スティーブ・プランケット、カート・クオモ、ハリー・パレス、リック・フィリップス、ジョン・ボン・ジョヴィ、アルド・ノヴァ等の曲を採用する。

派手で華のあるサウンドは、清々しいくらいメインストリーム寄りのハードサウンドを全開でやり切っているがメタルな姿勢も忘れていないという気持ちよさ、Razormaidのシンガーがデイヴィッド・リースになったような印象を受けるくらいRazormaidは良いバンドなので、硬派でしなやかなメロディックアメリカンメタルが好きな人ならば、ぜひ向こうを合わせてチェックして欲しいですね。

期待したほど売れずバンドは早い段階で解散。ろくにプロモーションもせずに幻のグループと化した。
多彩な曲を収録した今作、このバンドの問題は後半を聴くと感じるだろうが、良くも悪くもデイヴィッド・リースの押しの強さが、どうにもこうにも一辺倒な印象を与えてしまう。その課題をクリア仕切れていないと感じるのが最大のポイントだろう。

その押しの強さは主役級だが、お前、足引っ張っていないか?しかしデイヴィッド・リースの押しの強さは看板だ?
その二面性がもどかしさを誘発している。それはこのバンドの宿命であり、プラスでもありマイナスでもある。

しかし、今作は世界中のメロディックメタルを愛するマニアから支持されており、短命に終わったとは思えないほど、求められていた事実がある。日本だとどうしても一冊の雑誌が牛耳るので、その情報に乗っかるだけだと、流行廃りの踊らされる滑稽な音楽人生を歩むことになるのだが、地に足の付いた筋金入のメロディックメタルファンならば、愛すべき美点の多さに感嘆するでしょうね。

上手いこと曲を散りばめていますね。マックス・ノーマンもいい仕事したよなぁ。


BANGALORE CHOIR - Cadence ★★★ (2023-07-29 19:24:34)

SEからチョイヘヴィグルーブの②へと流れ1stとは違う路線で復活しましたと思わせたのも束の間、③では1st路線へと一気に傾き往年のファンから歓喜の声が聞こえてきそうです。収録曲が14曲とボリュームが多いのは難点ですが、新旧の魅力を散りばめた今作は復活作としては十分な手応え、デイヴィッド・リースのダイナミックな歌声を生かしたメインストリーム寄りのハードサウンドに陰りはなく、過去の焼き回しに終わることもなく、だからといってやり過ぎない絶妙なところをついてきたと思います。
デイヴィッドの熱い歌声とチョイ切ないメロディが耳を惹く⑭なんて、1stに入っていても違和感なしですよね。終わり良ければ全てよしと納得させる出来映えです。
個人的に曲数の多いアルバムがイマイチ肯定的になれないので、アレなんですけど、そんな細かい事を気にしなければ何の不満もないでしょう。ギターもハードに賑やかにソロをキメてくれます、ダークさやシリアスな閉塞感よりも、華やかなロックが好きだ、80年代的なスタイルが好みの方には大いに楽しめるでしょう。
丸々メインストリーム寄りでもないし、メインストリーム寄りなのが、このバンドの真骨頂でもある。そのバランス感覚が最大の聴き所でしょう。2010年にアップデートしたメインストリーム寄りハードサウンドですよね。


BANGALORE CHOIR - Metaphor ★★★ (2023-07-29 19:06:06)

神経質なジャケットとは裏腹にキャッチーで親しみやすいハードサウンドを展開、初期の頃を想起させる路線は多くのファンが待ち望んだもの、前作にあったモダンを排して完全復活となったと思いきや(ウエスタンカーニバルな⑥だって全然不自然じゃない)最後まで、その路線で突き進むことはなく、中盤からは落ちつき成熟した面も見せ、単なる回顧録ではない現役感をアピール。
新たに加わったギターのアンディ・スゼミールとカート・ミッチェルのコンビにも不安な要素はなく、アメリカンテイストと欧州風味がミックスしたメインストリーム寄りのダイナミックなハードサウンドは益々磨きが掛かってきた。
個人的にはブルージーさを導入したのも、ある意味、デイヴィッド・リースのソロ作に近い環境だからと想像しますね。
浮ついた要素は皆無、前半と後半という分け方が可能にしたアイデアも悪くないが、アルバムを通して聴いて違和感がない点が、今作最大の魅力でしょう。


BANGALORE CHOIR ★★★ (2023-07-29 18:45:20)

全米制覇を目指すACCEPTはレーベルとマネージメントのプレッシャーに負け、盟友ウド・ダークシュナイダーを泣く泣く解雇。空気を読んだウドはドイツに帰り自らリーダーとなるバンドを立ち上げACCEPTサウンドを継承。ステファン・カウフマンの合流の早さなどを考えれば、いかに厳しい決断だったのかは容易に察しが付きますね。
そんな苦渋の決断を受け入れるも成功とは行かずバンドは解散。そりゃそうだよなぁ。やりたくてやった交代劇でもないし、音楽性の変遷もあったしね。
いきなり失業したデヴィッド・リース。HERICANE ALICEのイアン・メイヨーとジャッキー・ラモスとバンド結成、最初のギタリストはジョーイ・タフォーラだったが、結局彼とは継続した活動を選択せず、ギターチームにRAZORMAIDのカート・ミッチェルとジョン・カークを迎え入れ、Warner Bros. Records系列の新興ブランドGiant Recordsからデビュー。プロデューサーにマックス・ノーマンを迎え、ソングライティングチームとして、スティーブ・プランケット、カート・クオモ、ハリー・パレス、リック・フィリップス、ジョン・ボン・ジョヴィ、アルド・ノヴァ等から楽曲提供を受けるも売れずバンドは解散。
イアン・メイヨーとジャッキー・ラモスはすぐさま、カル・スワン、ダグ・アルドリッチと接触してBad Moon Rising結成へと向かう。92年という時代に移り変わりに翻弄されたL.Aのハードシーンを象徴するような事象です。離散集合を水面下で皆が繰り返していたもんなぁ。

2010年にバンドはリバイバルブームにより再結成。復活作はメロディ派からは信頼されるドイツのAor Heavenからリリース、併せて1stも再発されましたね。輸入盤市場ではそこそこ売れた再発盤でした。2022年には30周年記念と言うことでリマスター&ライブ音源をプラスした18曲入も出ています。

2012年に3枚目。2022年にデモ音源集の2枚組、そして2023年に新作をリリースした現役バンド。最新作は初期の頃を思わせるとマニアからはプチ話題を頂いています。

2枚目はチョイモダンさも加味されているが初期の頃を思わせる楽曲もあり単なる回顧録ではなく現役として復活。3枚目のアルバムも攻めの姿勢を崩さず、硬派なヘアメタル系サウンドとして大いに楽しんで貰えるでしょう。

ちなみにオリジナル盤にはボートラなく、配信盤などは、いずれも2011年にリリースされたライブアルバムAll Or Nothing-Live At Firefestの模様を追加してます。


PURGATORY - Tied to the Trax ★★★ (2023-07-26 14:04:13)

バンド名といい音楽性といいメイデンからの影響を大きく受けたパワー/スピードメタル系バンド。オフィシャルの再発盤が88年に出たっきりということらしく、そのマボロシ感を強めている。参加メンバーも、このまま消えた訳じゃないのだから、どこから出てもおかしくないのだが、権利の関係が複雑なんだろうか?日の目を浴びられていないのが残念ですね。

妙に歌が前に出たミックスとイイ、音質も良くなく平坦なサウンドメイクが迫力を殺している。その画一的な音像に全曲同じ感じに聞こえてくるような錯覚を覚えさせるのはマイナスですが好きモノにはたまらん魅力を発散。
影響を受けたバンドのスタイルを、素直に落とし込むという作業の賜物なのでしょうが、破天荒なだけではない計算されたパートに将来性を感じます。そしてメタルバンド故の破壊力も同様でしょうね。


ANTHEM - Crimson & Jet Black - Blood Brothers ★★ (2023-07-26 13:52:50)

お馴染みのアンセム節です
ノリが良くメロディアスでキャッチー
再結成後の彼らが極めてるスタイルですね
この曲で海外のダイハードなメタルファンをノックアウトして欲しいねぇ
これが通用するのかは試金石であろう


HOUSTON - Relaunch III ★★★ (2023-07-24 14:23:45)

②Marc Jordan ③Atlantic ⑤David Pack ⑦Van Zant ⑧VAN STEPHENSON ⑨Prophet ⑩Franke & The Knockouts ⑪Urgent

クレジットがないので、100%の保証はしませんが上記アーティストの楽曲をカヴァーしたお得意の企画モノ。どれが新曲でカヴァーか判別が付かないほど統一感があり、①④⑥も新曲なのか自信がありませんが、いずれにしろ極上のAORソングが詰まっています。

このバンドは、オリジナル曲も○○風が多いのでさほど気になりません。企画モノもオリジナルアルバムも境界線が曖昧みたいなところがあるのですが、有名な曲をカヴァーするのではなく、歴史に埋もれた名品を発掘するという信念のもと制作されているのがポイント。
これを聴いて原曲を辿るというのが一番のお楽しみです。そして向こうも気に入ればお得なカタログギフトとなりますよね。

あくまでも企画モノですが光るモノもあります。それは選曲の妙味。AOR系のハードサウンドが好きな人ならばAtlantic、Urgent、Prophet、Van Zantあたりはきいてほしいですもんねぇ。
有名無名に関わらず、愛する音源を現代に蘇らせた企画モノ第三弾。ファンならば迷わず手に取るでしょうね。
でも、マイナーなバンドのカヴァーが多いのだからクレジットはするべき、特に売る側レコード会社はどこかで明記するべきだろう。


BLOOD MONEY - Battlescarred ★★★ (2023-07-21 12:13:29)

遅れてきたNWOBHM。スピードメタル番長として知られるバンドによる2枚目のアルバム。レーベルは悪名高きEbony Recordsということで音質はアレですが、スピード狂ならば首の疼きも止まらないスピード勝負、スラッシュメタルじゃない正統性の強いストロングメタルをスピード重視でやり切っている。ガナるのではない伸びやかな歌唱スタイルも、この手のバンドとしては希少、歌い込めるシンガーと加速度のあるサウンドは、歌を後ノリさせることでよりスピード感が増すという技巧を披露、はち切れんばかりのパワーは、強靱なリズムが後方支援とばかりにド派手に打ち鳴らしバンドサウンドの底上げに貢献、まさにパンク仕込みのNWOBHMという名目を示していますよね。
分離の悪いごちゃっとした音質、彼らの魅力を削いでいる愛のないレーベルの仕打ちに殺意も抱きそうですが、3割4割と割り引いてもこのテンションの高いスピードメタルサウンドの魅力は、マニアの耳にビンビンに響くでしょう。
商業誌における前作の低評価など一切影響は受けない、レビューはあくまでも参考程度、という客観性のあるスピード狂には知って貰いたいバンドではある。でも無理して聴く必要はないんですけどね、YouTubeで良いので探して聴いてみてください。

チェーンソーはイメージキャラなのかな?


THE PANDORAS - Rock Hard ★★ (2023-07-21 11:47:13)

今では珍しくない全員女性によるロックバンドのミニアルバム。現在は次作のライブ盤と抱き合わせで世に紹介されている一枚。デビュー当時はガレージパンクスタイルでデビューを果たしていたのだとか、そっち方面に明るくないので知らんが今作では音楽性をアメリカンなハードサウンドへと転換、まさに1988年という時代背景をそのままに音楽的な変遷を果たしている。
プロデューサーにスティーブ・サラスの名前をクレジット、音楽的な質は高くテクニカルではないが、ギタープレイなど本当にヴォーカル兼任でこなすポーラ・ピアースがやったんか?と疑いたくなるほどこなれている。それは全体的であり、当時のL.Aシーンにおけるスタジオミュージシャン深夜にコッソリ、本人に変わりレコーディングなんて逸話がほうぼうで聞かれましたが、そんなゴシップを持ち出したくなるような出来た作風である。でも上手いとは言えない、いや下手な部類である。それほど最初の2枚が粗かった。
シンプル故に余計、そう感じるのだが健康的でハツラツとしたハードサウンドは等身大の魅力を内包、適度にハードで弾けるポップセンスと女性的な甘さを上手くミックス、そこにチョイと毒気をまぶし挑発していますね。あと歌詞がエロいんでしょうね。タイトルからも漂いますよ。
そんな今ではセクハラでアウトな世界観、下手な演奏が猥雑さと親和性が高いんですよね。コレといったキメ曲もないのでわざわざススメる事も憚られるのだが、この暑い時期になると、胡散臭いアメリカンロックが似合うのである。POISONとか妙に聴きたくなるのと同じ感覚なんですよね。


VIXEN - Rare Vintage - You Ought to Know by Now ★★★ (2023-07-19 13:46:43)

ドラムがイイですねぇ
ギターも巧者
熟女となった歌声も逆にイイ
こういう曲をやるのが上手いバンド
ハツラツさと成熟度
今の彼女達を舐めてかかるものなどいないだろう


大山まき - Valkyrie ★★★ (2023-07-19 12:50:04)

北欧神話に登場する女神の名前をアルバムタイトルに込めた一枚。戦闘モードに入った大山まきは、ブレないスタイルで力強い歌声を披露。多様性のある音楽性、あえてメタルなんて言葉を使わなくともハードな音楽に耐性のある方ならば、大いに喜んで貰える親しみやすさを込めている。そんな中で伝説のロックバンド紫から客演を迎えるあたりが憎い演出である。

Aldiousでのサポートの影響もあるのかスピードナンバーもあり、Aldiousファンにとっては嬉しいサプライズでしょうね。YouTubeでの活動も話題、そこから掴み取った確固たる地位とミュージシャン人生、こういうジャンルで売り上げ的な成功は難しいだろうが、一発なにが起こるか分からない時代、希有な存在の女性ロッカーなので頑張って欲しい。
客演組の話題もあるが、ギターが上手いですね。
歌以外にヴィジュアル的にも押せる大山まきを売りたい運営の気持ちも分かるが、せっかくバンドスタイルでやっているのだから、バックのメンバーに光を当てて欲しいねぇ。80年代の浜田麻里じゃないんだから、理不尽な過去から学んで欲しい。
彼女はアイドルじゃない。本気のロッカーだ。


ANGEL - Once Upon a Time ★★★ (2023-07-19 12:13:46)

リバイバルによる再結成プロジェクトではなく、本気でバンドを動かした主要メンバーのパンキー・メドウズとフランク・ディミノ。懐かしい名前を担ぎ出し、それっぽい雰囲気で往年の楽曲を再構築するベテラン組も多いのだが、このバンドは、そのあたりとは一線を画すスタンスで再始動。勿論、ファン心理は無視していないが、やはり鮮度が違う。そして年季の入ったベテランによる熟練度と見せ方の絶妙な上手さ、それがフレッシュ感を誘発するのだ。
モダンさを廃したクラシックロックでの帰還、甘美なメロディだがキレのあるメドウズのギター、あくまでもワイルドな姿勢を崩さないリズムプレイ、AOR系メロディックハードとして野性味と純真無垢な神の使者の如き清廉なる煌びやかさ、その両輪を際立たせることで、シーンにインパクトを与えている。
美しいメロディラインを歌うパートとハードなギターの対比、その聴かせ方の上手さに一日の長を感じますね。なにをやるか、そこにブレがない。時代にすり寄り小銭を稼ごうとしなかった。そういう健全な発想こういう音楽性を作り上げた。


METAL CHURCH - Congregation of Annihilation ★★★ (2023-07-18 13:56:36)

ヴォーカルがRoss the Boss等でリードシンガーを務めていたマーク・ロペスに変った、あえて比較するならばデヴィッド・ウェインに近いタイプと言えるが、このシンガーはもっと癖が強い。そのやり過ぎと言える灰汁の強さ、キャラの濃い歌声に苦笑いも出るだろうが、パワフルなバンドサウンドに負ける場面は皆無、重責を全うしてくれました。

なによりサウンドが往年のスタイルを思わせるサウンドメイクにシフトチェンジ、現代的なフィルターを通してはいるが驚くほど、懐かしい味わいのサウンドへと回帰している。攻撃的でパワフルなシンガーを手に入れたバンドは、音楽的間口を広げつつも筋の通ったサウンドを展開、リズミカルでダイナミックなリズムプレイの豪胆さ、面白味も増したギターワーク。これぞメタルチャーチと呼べるパワー/スラッシュメタル風味満点の音楽性を披露してくれた。


SAXON - More Inspirations ★★ (2023-07-18 13:24:41)

原点を見つめ直すようにカヴァーアルバムInspirationsを制作。その意味合いは大きなモノとなったのか、多くのファンが待ち望んだ80年代型のスタイルを見つめ直した作風で迷いを吹っ切ったCarpe Diem。近年のマッチョなヘヴィロック路線は少々、肩が凝るものだったが、彼らは見事に帰還を果たした。そして、次がまたカヴァーアルバム。正直、インターバルが短い為に鮮度がない。
あまりタイムリーな作風とは思わないのだが、ビフ・バイフォードのルーツに迫るという追体験を求めるファンには重要が多いのだろうが、個人的にはベタ過ぎるぞと思い、イマイチ乗り切れなかったりするのだが、こういう企画モノは古典を見直すにはちょうど良い機会でもあります、最近サクソンを知った若い人には、是非ともルーツの共有を楽しんで欲しいですね。
そして各バンドや参加メンバーを掘り下げ辿ればメディアに頼らなくとも色んなバンドに巡り会えます。


MEGACE - Human Errors ★★ (2023-07-17 13:40:41)

女性ヴォーカルを要するプログレ風味満点のメタルバンド。スラッシーなアプローチもあるが、そこまで過激ではなくパワーメタル寄りのプログレハードとも言えるが、スラッシュメタルという枠組みに入れても異論はない、ジャンル分けなんて意味ないが便宜上ちょっと、プログレスラッシュ、ある意味はインテレクチュアルなんて言葉を使うと良いのでしょうね。

この女性ヴォーカルですが普通に歌うパートが多い、そして咆哮するパフォーマンスも間に挟んでくる、その二面性が楽曲に反映されサビーナ・クラッセンのいたバンドのような形にならなかったんだろう。差別化、ある意味は個性の確立として機能している。

その二面性を楽曲に反映しているのだが時折スムーズに進まないなぁと感じる場面もあり、そのあたりが評価を分ける点でしょう。個人的には、ぎこちないと感じる場面も味と捉える事が出来るのだが、しまりの悪さというのか、味気なく楽曲が終わるなぁという印象の方が強く、そのあたりに工夫を凝らせば繋がりに緊張感が生まれ聴き手を引き込む事が出来たのではと思いますね。
また、この手のサウンドとしては奥に引っ込んでいるというのかダイナミズムに欠けるサウンドプロダクションもマイナス、せっかく複雑な展開を持ち入り演出しているのに、良さが伝わらないというのも難点なのだが、女性ヴォーカルを擁するバンドとしては先鋭的なスタイルで勝負してきた心意気は大いに評価出来る。
でも彼女のべったりとした歌い方ってちょっと居心地が悪くなるんだよなぁ。


MICHAEL THOMPSON BAND - The Love Goes On ★★★ (2023-07-14 15:56:11)

ギター職人として沢山のお仕事をこなした腕利きのギタリスト。印税だけで飯喰えるんだろうなぁ。そんなマイケル・トンプソンによるプロジェクトチームによるアルバム第四弾。
AOR調の唄モノロックを軸に味わいのあるギタープレイで魅了、焦点を絞り込んだサウンドにブレは一切なく、レーベル謹製のサウンドを展開。歌モノロックが大好物な方はオープニングナンバーからグッと掴まれるでしょうね。テンションを下げることなく最後まで完走するソングライティング力の高さ、爽やかさの中に練り込まれた滋味深いエモーション、緻密に積み上げられた楽曲はどれもがアッパレな出来映え、これぞフロンティアだしAORロックの王道を行くサウンドだろう。
なかなかコンスタントなリリースとはならないのだが、これほどの良作を作れる男だけに、もう少しペースを上げてもらいたい。


LOVEBITES - Judgement Day - Stand And Deliver (Shoot ’em Down) ★★★ (2023-07-13 21:00:25)

私服っぽい姿で演奏をするシーン
等身大の彼女達を見せたのは正解だ
ハイテクニックを駆使するホンモノのガールズメタル
歯応えのあるハードでダイナミックなナンバー
親しみやすい一曲だろう
嫌味にならない女性らしいお茶目なシーンも的を射る