気付いたら10曲中半数は以前にレビューしてたんだな。個人的に81年暮のヘヴィロテ1.、夏に聴きたい2.、ちょっと寒くなっちゃう3.、走りたくなる4.、プログレハード然としたタイトルトラック6.辺りは定番テューンだから今更自分如きが紹介するまでもない。 今回、残りの5曲を聴き直して、これらも同様に本作の重要な構成要素であると実感した。ただ最後のバラード2つ、9.のスケール感で盛り上がった後にあまり抑揚の無い10.で平静に戻って終わるという並びでは不完全燃焼だね。いっそ5.と10.が逆なら完璧かと。 全体的には前作、特に"Any Way You Want It"で示された80年代的ネアカロックの路線が花開いた作風だ。Escape…"逃避"と考えるとネガティヴだが本作はライナーにもある通り"脱出"なのだ。それは束縛からの解放であり自由を勝ち取ること。そんなふうに考えながら改めて聴くと全曲このテーマに則っているのがわかる。言うまでもなく名盤、そしてJOURNEYが産業ロックの代表格に登り詰めた1枚。
英国のKEANEではなくて、こちらはTOM (1964年生れ、Key.) と JOHN (1965年生れ、Ds.) の KEANE兄弟がメインを張るアメリカ西海岸・LA出身の(日本で言う)AORバンドです。 まず1977年に兄弟2人で THE KEANE BROTHERS として DAVID FOSTETR のプロデュースによりデビューしアルバム2枚をリリース、その後1981年にG.とB.を加えた4人編成の KEANE を結成し、同年アルバム"KEANE"をリリース。翌1982年にB.が後々 CHICAGO のメンバーとなる JASON SCHEFF (兄弟より年長の1962年生れ)に交代して2ndアルバム"TODAY, TOMORROW AND TONIGHT"をリリースした後、兄弟夫々がソロ活動に転じてバンドは消滅。 TOM は その後も DAVID FOSTER に師事しプロデューサー、アレンジャーとしても大活躍、CHICAGO の WILL YOU STILL LOVE ME? なども手掛けていたりします。一方の JOHN はLA界隈のセッション・ドラマーとしてやはり CHICAGO などのレコーディングに参加しているとのこと。 そんな KEANE の音楽は、代表曲 TRYIN' TO KILL A SATURDAY NIGHT(邦題「ドライヴィング・サタデー・ナイト」)でお分かりのように、妙に落ち着き払ったAORではなくて、若さ溢れる(当時まだ10代だもんね、当然!)Vo.にタイトな演奏が乗った典型的なネアカ80年代ウェストコーストロック! 肝心の音源が2000年に日本の COOL SOUND から世界初CD化されて以来再発は無いようなので、コレは!と思われた向きはじっくり探してください。
CHICAGO の所で JASON SCHEFF を若造呼ばわりしてしまいましたが、彼のプロデビューは遡ること4年前の本作で実に当時19歳、しかもメインのKEANE兄弟は更に年下! ギタリストと前任のベーシストだけが一回り上のオジサンだったって。 そんなことより、本作は KEANE のバンドとしての2ndでありラストアルバム。1stに比べて楽曲はよりシンプル且つパワフルになった印象で、成長の跡が伺えます。TOTOの弟分という触れ込みでデビューした当初よりもTOTOに近付いたカナ? 当然ながら JASON加入後の CHICAGO のような音像も感じ取れるし、なぜか人的交流のない BOSTON の香りも仄かに漂う…。こう言うとまるで良い所取りみたいに聞こえるけど、楽曲は全て TOM KEANE を中心に書かれたオリジナルです。 80年代初頭のゴキゲン&爽やか系産業ロック、AORの知られざる良作。尤も1st同様当時から日本でのみリリースだったから、忘れられていたと言う方が正しいですね。