結成当初からアメリカを目指していた。 第一弾として、1st、2ndの楽曲をアメリカで再録音した3rd「 Love & Other Bruises(1977年)」をコロンビアから発売したものの、見事にコケている。 再挑戦は、クライヴ・デイビスの指揮の元、4th「Life Support』より2曲、"Lost in Love"、"Just Another Woman" を再録。 1回目の挑戦時には、ラッセルコンビのみでバックは、セッションミュージシャンだったが、今作はバンド単位だ。 (国際版のアルバムジャケットは5人の写真だけど、クレジットでは6人。)
HR/HM好きには、BEST盤は邪道かもしれないが、 オリジナルアルバムには収録されていないBEST盤専用曲で、ジム・スタインマン作の“渚の誓い (Making Love Out of Nothing At All)”、 映画『ゴーストバスターズ』収録曲で、デヴィッド・フォスター、ジェイ・クレイドンのAIRPLAYコンビが楽曲に関わった“I can wait forever” カバー曲だが、後にセリーヌ・ディオンがヒットさせた“The Power of Love (You Are My Lady)”、 同じくマライヤ・キャリーがヒットさせた“Without You”(オリジナルはバッド・フィンガー)。
AIR SUPPLYが’82年に発表した7thアルバム。本作からシングル・カットされた“EVEN THE NIGHTS ARE BETTER”(邦題“さよならロンリー・ラヴ”)が期待通り大ヒット、エルヴィス・プレスリー以来となる「7曲連続でシングル・チャートTOP5入り」という偉業をバンドにもたらしています。(アルバム自体もプラチナムを獲得) 但し、創作意欲を満たすべく自作曲の収録を望むバンド・サイドと、手堅いヒット狙って外部ライターの楽曲を持ち込もうとするレコード会社との関係は軋みを上げ始めており、これ以降大きなヒットに恵まれなくなったAIR SUPPLY人気は緩やかに下降線を描いていくこととなるという…。 そんなわけで、絶頂期最後の作品というやや寂しい位置付けを受ける本作ですが、内容は「素ん晴らしい!」の一言に尽きます。アートワークの世界観をそのまま音像化したような、グラハム・ラッセルとラッセル・ヒッチコックの爽快で伸びやかなVoと胸を打つ哀メロを満載にした楽曲は、1曲目からバラード系の楽曲が連続するという微妙な構成すらものともしないクオリティを提示。特に洋楽ファンならずとも、きっとどこかで耳にしたことがある筈の②は所謂「ペパーミント・サウンド」の真骨頂というべき名曲。またAORの枠内で語られがちなアルバムながら、甘美なストリングスとツインVoの掛け合いを生かした③あり、プログレ・ハード風のドラマティックなアレンジが施された⑤あり、快活なロック・チューン⑦ありと、収録曲のバラエティは実は結構多彩であることも強調しておきたいところであります。 今夏の寝苦しい熱帯夜のお供にお薦めせずにはいられない名盤ですよ。