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魔王戴天 / 陰陽座
Usher-to-the-ETHER ★★ (2007-08-18 16:43:00)
「最高傑作という言葉すら生温い」か…。
個人的には、以下の3点を除いて最高傑作と言って良いと思います。かなりキツイですが…
1・歌メロのキャッチーさの減退。
今作、「魔王」「黒衣の天女」等のキラーチューンですら、歌メロだけに絞ってみれば
「蛟龍」や「睡」「妖花」辺りに及ぶ曲が見当たりません。陰陽座がただのメタルバンドなら
良いのかもしれませんが、彼らの魅力の中には歌謡曲要素とメタル要素を上手く共存させて、
海外のバンドには無いキャッチーさを出している、というのもあると思うので…
わざわざその魅力を捨て、平均的なメタル音楽に近付く必要はないのではないかと思います。
2・瞬火さんの歌唱。
今作では彼はがなり気味の歌唱を多用してますが、彼がそういう歌い方をするといまいち
野蛮さに欠け、声の細さが露呈している気がするんですよね…「骸」などは特に。
メジャーデビューした辺りから歌唱力が上がり、前作や前々作では色気のある歌い上げを
聴かせてくれていただけに、今回のパフォーマンスの微妙さにはちょっとがっかり…。
個人的には、いまいちこのがなりスタイルでの声の弱さは味として捉えられなかったり…。
3・妖怪っぽさの減退。
前作と比べると大分「妖怪っぽさ」はあると思うんですが、それでも初期の二枚と比較すると
減退していると言わざるを得ない。もちろんメジャー志向になるのは悪いことではないと
思いますが、それなら歌のメロディはもっとキャッチーな方が良いと思います。
正直言って、この作品はメジャー性とアングラ性のバランスが中途半端で物足りない。
それが、結果として過渡的な作品っぽい印象を与えてしまう感じ。
相変わらずバラエティには富んでるし、音質も前作より全然良いし、演奏のかっこよさで
言ったら過去最高だと思います。でも上記の要素が大きすぎるため、陰陽座のアルバムでは
個人的なお気に入り度は並程度と言わざるを得ないかもしれません…。
J-POPが土下座して謝るくらい歌メロが鮮麗で、インディーズでの作品並に妖怪度や
変態度が高く、それでいて「鳳翼麟瞳」「臥龍點睛」並にメジャー志向の音楽で、
「夢幻泡影」並にアルバム全体の完成度が高くて、今作並に演奏がかっこいい。
そんなアルバムを作ってくれないんでしょうか…。「最高傑作という言葉すら~」という
発言から、当り前の様にそういう物を期待してたんですが…。
なんか長々と文句ばっかりすみません。でもそれだけ期待しているバンドだということで。

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