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Live Inferno / EMPEROR
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2009-04-08 19:55:00)
2009年発表の二枚組みライブ盤。
2006年のノルウェー(Inferno Festival)とドイツ(Wacken Open Air)でのライブを収録。Wackenの方はDVDでもリリースされてます。

「Emperial Live Ceremony」と同様、音は少し小さめながら良好で、細部が分かりづらかった1stや2ndの曲もかなり聴きやすくなってますが…これを聴いて思うのは、シンフォニックブラックにおいて、ジャンルのクラシックとなるべきクオリティの名曲を生み出せているバンドは、EMPERORを除いて未だに殆ど出てきていないな…ということ。

例えばLUNAR AURORAの「Andacht」なんかは、彼らを超える魔性の雰囲気があると思うし、新人ながら鬼クオリティの音を聴かせるABGAIL WILLIAMSみたいなバンドも出てきてますが、曲の良さという点ではまだ敵わないと思う。このライブ盤の、特に初期の作品が、音質が良くなりフレーズが聴き取りやすくなっても曲の魅力が失われてない事が、EMPERORの曲が邪悪な「雰囲気」だけではない、真に良い曲を作っている事の証拠だと思います。

しかし、これを聴いてると、Ihsahnソロも大好きな私でさえ、EMPEROR解散は惜しかったなぁ…と思ってしまいますね。特にIhsahn、最初見たときは少し丸くなったようにも見えたんですが、ライブが進むにつれて「恐怖の皇帝」の彼が覚醒していっているような存在感を感じます…声も後半の方が出てる感じがしますし。やっぱり彼の才能の本質って、音楽を通して「人に畏怖を与える」ことにあると思う。緻密で知的な今の作風も良いですが、SamothやTrymとつるんだままでそういう方向に特化した音楽を演ってくれても良かったんじゃないかとも思います。

EMPERORファンならマストな作品ですが、二枚とも選曲がほぼ一緒なのは少し不満ですね。特に4thからは一曲しかないし…「The Eruption」「The Tongue of Fire」とか聴きたかった。まあ再結成は一時的だし、仕方ないですけど。でも仕方ないじゃ済まされないのが、ヴォーカルがメロディ歌うパートでハモり入れてるEinarの歌唱が、ヴァイキング風朗唱でもブラック風呪詛でもなく、パワーメタル風熱唱なこと。しかもIhsahnより声でかいし、Ihsahn歌いづらそうだし…皇帝の曲をそんな風に歌わないで欲しい…。

四月に入って、新生活などで色々大変な方もおられると思いますが、そんな時期に届いた、皇帝から直々の励ましを聴いて頑張りましょう(笑)。一時再結成のライブ盤が出ると噂には聴いてたんですが、もっと先だと思ってたのでかなり嬉しいです。

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