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Master of Puppets / METALLICA
火薬バカ一代 ★★★ (2007-03-16 22:50:00)
名曲中の名曲①で幕を開ける、'86年発表の3rdアルバムにして、自他共に認めるMETALLICAの代表作。
スラッシュ・メタル・ブームを決定付けた歴史的名盤ながら、鋭さよりも重厚さに重きを置き、スピードを抑え目にした楽曲はより複雑化・大作化・・・と、内容的には一足早く「脱スラッシュ・メタル」が試みられていて、彼らが狭いジャンルでは収まりきらない、孤高の音楽性を確立させた最初の作品とも言える。
2本のアコギが絡み合う美しいイントロから劇的に疾走を開始する①や、印象的なリフを持つ⑤、ラストを激烈に締め括る⑧のようなスラッシーなスピード・ナンバーを要所に配しつつも、②④⑥といった楽曲を筆頭に、以前にも増して起伏に富んだメロディを歌うジェイムズ・ヘッドフィールドのVoといい、更に構築美を高めた曲展開といい、ツインGが生み出すメロディの煽情度といい、アルバム全編に溢れるドラマティシズムの濃度は間違いなく過去最高。
また、ここで大きな存在感を発揮しているのがクリフ・バートンのBで、単にボトムを支えるだけでなく、曲のスケール感や叙情性を大幅に増幅させる彼のツボを突いたプレイは本作の白眉。特にインストの名曲⑦はじっくりとご堪能あれ。
全体的に、触れれば切れそうな鋭さが後退して、包み込むようなスケールの大きさに圧倒される作風に仕上がっていて、中には少々冗長さを感じさせる曲が無いわけではないものの、METALLICAが本格派のメタル・バンドへと脱皮を遂げた事実が、しかと刻み込まれた名盤なのは疑いようがない。このCDを聴け!

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