この曲を聴け! 

Operation: Mindcrime / QUEENSRYCHE
絶叫者ヨハネ ★★ (2006-02-19 22:00:00)
ついにこれのレヴューを書く日が来たか……。あまりに素晴らしいすぎるものについて何か言おうとすると、かえって言葉がみつからないといいますが、今の私はまさにそういう状態。

いわく
「80年代最大の奇跡」
「ロック史に輝く不滅の金字塔」
「HM/HR史のクライマックスを飾る窮極のアルバム」

などと賛美のかぎりを尽くしたいところですが、あまりやりすぎるかえって回し者などと疑われそうなので控えめにしておきます。

本作の内容についてすでにみなさん触れられており、いまさら私がつけ加えることもないのですが、一つだけあまり語られていない点について述べさせてください。

実は、とてつもなく「ヘヴィ」で「アグレッシヴ」なアルバムです。
単純に感覚的な音の密度と重量感では、最近のものを含めこれより重いものはいくらでもありますが、全体の音圧、楽曲の緊迫感、なによりメロディラインの燃え上がるほどの狂熱性など、心理的なヘヴィネスとテンションの高さでは全HMアルバム中でも屈指。まるで至近距離で落雷を受けたような異常な緊迫感と圧迫感です。
私的にはJudas のPainkillerやPanteraの諸作品をしのぎ、ドゥーム・メタル/スラッジコアや最近の激音系(Convergeなど)も含め、「ヘヴィネス」「アグレッション」を売りにしている大半のバンドよりはるかにヘヴィに聞こえます(しかも、リマスター化でさらに重たくなった!!)。もちろん重さの表現の仕方が根本的にがちがうので単純な比較は出来ませんが、音のもつ切迫感と説得力において今作に匹敵する作品を聴いたことはほとんどありません。
これに対抗できるのは、私が思いつくかぎり、あのKing Crimsonの終末作「Red」か、忌まわしき怪物Nuerosisくらいなもの。

しかしあまりに強烈すぎ、密度が濃すぎるので聴き終わったとき時の疲労感が半端ではありません。聴いているだけで本当にクタクタ、終曲の後はどっと心地よい脱力感に襲われます。そのせいで、最高のアルバムにもかかわらず、聞いた回数自体はけっこう少ないです。
つまり一回聴くと、本当に疲れ果て、しかも完全に満足しきってしまうので、そうしょっちゅう聴く気が起きない、という超名作にありがちな効果をもっています。(私的にこういう効果の有無で私的な超名作を普通の名作(ヘンな言い方ですね)とを区別する指標にしています。)、

ひょっとすると、HM/HRというジャンルでこれを超えるものはもう出てこないのでは、とも思います。発表からすでに15年以上経ちしましたが(リアルタイムで聴いたわけではありませんが)、私が聴いた範囲で、これ以後出たアルバムで今作を超えるものは皆無。いかなるビッグネームのどんな名作からも、これを超える歓喜と霊感を受けることができないでいます。

今後彼らがどれだけの作品を生み出していくのかわかりませんが、たとえ彼らがHMから離れようと、どれほどの批判を浴びようとも、彼らの名前、そしてこのアルバムのことが忘れ去られることはないでしょう。
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