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Stormwarning / TEN
ムッチー ★★★ (2011-01-28 23:36:32)
2011年発表、9枚目のオリジナルアルバムです。
前作の『THE TWILIGHT CHRONICLES』からは間が空いてしまいましたが、
相変わらずの、TENらしい、素晴らしい作品だと思います。

近年のTENはメンバーの流動が激しく、今回もリードギタリストのクリス・フランシスが脱退。
前作では成長も感じられたし、TENに馴染んできたかなと思っていたので少し残念です。
そして、新ギタリストのニール・フレイザーですが、TENに合わないプレイが少なくないように感じます。
連続スウィープなどのシュレッディーなプレイには違和感を覚えてしまいます。
引出しも多く対応力もあるようですが、逆に統一感が無く実体が掴めないようにも感じられてしまいます。
それぞれの曲に合った構成されたソロを弾いていて、非常にいい仕事をしているんですけど、
自分的には、なんだか面白みがないんですよね。こんな不満はちょっと贅沢ですかね。
なお、他のニューメンバーは、マーク・サムナー(Ba)、元FATES WARNINGのマーク・ゾンダー(Dr)。

楽曲の特徴に関しては、率直に言っていつも通り。メロディを大切にしていて、その質も高いです。
音質に関しては、最近はずっと煮え切らないような音の作品が続いてましたが、今回は良いですね。
今作は、実に2nd以来となる外部プロデュースなので、その効果なのかもしれませんね。

これは間違いなく良い作品だと思いますが,だからこそ,気になる点,惜しいなぁと思う点もあります。
たとえば、後半にリラックスしたナンバーがずっと続く点。
1曲くらいハードチューンか悲哀曲を入れたら締まりが出たのに、これでは少しダレてしまうと思う。
それと、前作でいえば"The Elysian Fields"や"When This Night Is Done"のような、
メロウでバラードらしいバラードが1曲もないのが残念。
このような曲こそ、現在のゲイリーのヴォーカルを最大限に活かせると思うんだけど。
近年のゲイリーのヴォーカルは本当に素晴らしい。
なぜここまで表現力を格段に増すことができたのか不思議に思ってしまうほど。
だから、リスナーとしては、果たしていつまでこのような声が出せるのだろう、と
不安に感じてしまう点もあるので、今の内にどんどん曲を書いてほしい。特に極上なバラードを。
昔の様に何重にもヴォーカルを重ねる必要はないんだし,その歌声を活かせる曲作りをしてほしい。

このアルバムを聴いて,やっと再び動き出したこれからのTENに大きな期待をしたいと思いました。
看板リードギタリストの存在は課題だけど、ポール・ホドソンのキーボードアレンジは
TENの重要な要素になっているし、ゲイリーの作曲能力は相変わらず高水準を保っている。
そして何より、何度も言うように、近年で磨き上げられたその歌唱力。
これらを併せ持った現在のTENは、また最盛期を作り上げることができると思う。
ヴィニー脱退以降,低迷が続いてるのかもしれないけど,今作を聴いてこれからが勝負だと思った。
その為には、初期の頃のようにリリースペースを上げてほしいな。
今でいえばLADのように、毎年のように出してくれたりなんかしたら、すんごく嬉しいんだけど。

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