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高砂軍 (Takasago Army) / CHTHONIC
火薬バカ一代 ★★★ (2011-07-30 23:48:45)
「TAKASAGO ARMY(高砂義勇隊)」と言うと、まず真っ先に'45年の終戦から'74年までのおよそ30年間、かの横井庄一氏や小野田寛郎氏よりも長くインドネシアのジャングルに潜み続けた元日本兵・中村輝夫(台湾名:スニヨン)氏のことが思い浮かびますが、そうした驚嘆すべきガッツのオーナーである高砂義勇隊の兵士たちを主人公に、時代に翻弄され続けた彼らが辿る悲劇的な運命を台湾近代史に絡めて描き出したのが、CHTHONICが'11年に発表したこの5thアルバム。
インタビュー記事における受け答えを読むと、かなり高い政治意識を持っている事が伺えるバンドだが、さりとてそれを理由にこのアルバムを小難しく捉えたり、敷居の高さを感じたりする必要は全くない。本作は単純に、恐ろしく勇猛でドラマティック、そして幽玄なニ胡の調べが儚さをも演出する、ムチャクチャ日本人好みのサウンドが詰め込まれた力作である。
特に、終戦を告げる玉音放送をバックに、デス声Voが血の涙を流さんばかりの気迫で次々に倒れ行く兵士たちの最期を歌い上げ、悲壮極まるメロディが猛然と疾走する本編のリーダー・トラック⑦は全身が総毛立つ程にエモーショナル&ドラマティックで、間違いなく今年のベスト・チューン候補の一つですよ。
また個人的には、長大になりがちなコンセプト・アルバムにも関わらず、収録時間をタイトにまとめ上げる姿勢にも好感が持てましたね。

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