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The Book of Souls / IRON MAIDEN
火薬バカ一代 ★★★ (2015-11-04 22:45:24)
『FEAR OF THE DARK』を区切りに、ずんどこ大作志向を鮮明にしていったIRON MAIDENのアルバムには今ひとつ入れ込めず、今回も新作は2枚組、しかも18分越えの超大作まで収録!とアナウンスされた時から「こりゃあ期待できそうにねえなぁ」と、どうにもテンションが上がらずにいたのですが聴いて吃驚。他の方のレビュー通り、とても良く出来た作品じゃありませんか。
まず2枚組と言っても、1枚の収録曲は5、6曲で、トータル・ランニング・タイムも90分(つまり1枚平均45分)と、聴き易いボリュームに抑えられている点が○。更に楽曲の質も高いレベルをキープ。エイドリアン・スミスらしいHMナンバー“SPEED OF LIGHT”や、エピカルな曲調とライブ映えしそうなコーラスにアガりまくる“THE RED AND THE BLACK”のカッコ良さはどうだ。目玉である18分越えの大作“EMPIRE OF THE CLOUD”も、情景描写に優れた劇的なメロディ/アレンジ/曲展開とが上質な映画観賞の如き感覚をもたらしてくれてダレ場ナッシング。
それらを援護するのがブルース・ディッキンソンの歌いっぷりの良さで、長尺をがっちりと下支えする彼の雄々しい歌唱を聴くにつけ、これが本当に体内をガン細胞に蝕まれていた男の声か?と。
まぁ、ものによっては中弛みを感じるというか、インスト・パートもっと短縮できるんじゃね?とか思ってしまう楽曲もなくはないのですが、派手さよりも、冗長さと紙一重の堅実性重視で楽曲を盛り上げていくのが今のIRON MAIDENスタイルですからね・・・。
ともあれ、ここまで楽しめた彼らのアルバムは久し振り。入門盤に打って付け・・・というよりも、最近IRON MAIDENにご無沙汰だった古参ファンにこそお薦めする1枚ではないかと。

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