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The Astonishing / DREAM THEATER
正直者 ★★★ (2018-08-28 19:20:13)
音楽と言うのは難しいものだ。健常者であれば音のない生活などあり得ないのだが、そのノイズすらも音階に聞こえる人間もいる。複雑怪奇な音の世界。その深みを理解出来、判断するのも能力の一つでありセンスが問われる。それらのスキルが高いものがミュージシャンとして成功を成し遂げるのだろう。

近年はRUSHやブライアン・メイなどの影響も顕著だったプロデュースも務めるジョン・ペトルーシ。このアルバムではズルリと一皮剥けてきた。
ストーリーの幕開けはポジティブで爽快、壮大なスケールと空間をもったキャッチーなメロディックロックでお出迎え。ゴリゴリのプログレヘヴィメタルとは早々と決別との印象を残す。
その後もダークな色合を排除する傍ら、場面展開に応じた超絶技巧を見せ場としたポジティブなサウンドが続く。
テーマとも言える支配する勢力への反逆はRUSHが得意とするモチーフ、その辺りはこのアルバムにも受け継がれているが、ドラマ仕立ての効果音を伴った演出など、様々な仕掛けを用意し何が飛び出すか分からないスリルがある。
またプログレ系に理解の深い人であれば、同じフレーズが何度も姿を変えながら何度するアイデアに、分かっているなぁと嬉しくなりますよね。それに、この巧みに織り込まれた豊かなアンサンブルなどYES,RUSHが好きな人は、それを待っていたと手を叩いて喜びたくなる瞬間が訪れる。

RUSH,YESを知らずしてこのバンドに触れるのは悲劇だ。それに楽器を演奏できないとツマラナイだろう。コード進行、主旋律に対するリズムの違いなど、複雑な場面展開にも理解できないはずである。
それこそ、分かりやすいやヘヴィだ、スピーディだ、ポップだと表面的な評価に終始しています。
かつてJETHRO TULLもA Passion Playを出したときに散々悪口を叩きつけられた。難解だ、意味分からん。変な寓話風の語りなどいらないとやり玉に挙げられ、ものすごいネガティブキャンペーンを叩きつけられた。ただ全米1位に輝き世間の評価もコロッと変わった。アレを目の当たりにしたときは、心の底から滑稽な奴らだと軽蔑した思い出がある。
このアルバムも歴史がいずれ証明するだろう。
日本でもHM/HRの掲示板として唯一ともいえるサイトが、この程度の批評では嘆かわしい。正しいとか間違っているじゃないRUSHやYESとの類似点に気が付けないのが悲しいのだ。
それが分かっていれば、そこのコメントがもっとあるはずだが、一人をおいて、お目にかかれないのが残念だ。

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