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The Michael Schenker Group / MICHAEL SCHENKER GROUP
Tamasa ★★★ (2020-08-19 22:08:01)
マイケルは歌メロを作らない(作れない?)。ギタリストのオケに合わせて主にヴォーカリストが歌メロをアドリブで乗せていく作曲法は、ロックの世界では別段珍しい事ではないが、マイケルは結構そこが徹底されている。美旋律が売りの彼だけに、意外に思える人もいるかもしない。
だから、マイケルには相棒が必ず必要なのだ。しかし、マイケルはこの人間関係が大の苦手。というか、この時期は正に狂人一歩手前の最悪の時期。その点、結果論だがゲイリー・バーデンは最適であった。このアルバムが名盤たりえたのは、彼のメロディ作りのセンス(と、多分人の良さ)に負う所が非常に大きい。

ルドルフ兄ちゃん達に助けられて何とか社会復帰にこぎつけたマイケル。ソロアルバムのプリプロは凄腕ビリー・シーンまで参加して順調に進んでいるかに見えたが、またしてもマイケルの酒と精神安定剤乱用による錯乱で空中分解。一時、ソロプロジェクトは暗礁に乗り上げる。(因みに、この時ビリー・シーンがそのまま参加していたら面白いことになっていたでしょうね。後のミッチ・ペリー参加はこの時のつながりでしょうか…。まかり間違ったら、マイケル、ビリー・シーン、コージーのオケで歌うゲイリー・バーデンというバランスが超悪いバンドが見られた可能性も…)
ここでマイケルがついていたのは、兄ちゃんの紹介でピーター・メンチという凄腕マネージャーがついていたこと。かれの腕でスタジオミュージシャンとツアー用ミュージシャンをかき集め、半分人間やめていたマイケルを何とかコントロールして、この歴史的アルバムは完成する。ロジャー・グローバーをプロデューサーに起用してもらえたのも、精神的な安定に大きく貢献しただろう。この辺り、同時期のゲイリー・ムーアが環境に恵まれず足踏みさせられていた(後にコージーまでマイケルに取られちゃうし、先に死んじゃうし)のと対照的。人望の厚い兄ちゃんは持っておくべきだ。 

内容については言わずもがな。
①はロックギター入門としてSmoke On The Waterを弾けるようになった人の次の必須科目。⑥はマイケルの代名詞。ラストの⑨に至るまで、クライベイビー半踏みの独特のトーンと共に、これぞマイケルという名演の嵐。正にロック・ギターの教科書。


それにしてもこの1980年という年。
M.S.G.が出て、オジーでランディ・ローズがデビュー、ゲイリーがG-Forceリリース…と、ギターが本当に歌っていた時代だったんだなと胸が熱くなる。

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