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No World Order / GAMMA RAY

いぼ ★★ (2010-04-14 01:33:00)
「パクり」
日本語で最も嫌いな言葉のひとつ。
そしてこのアルバムにその言葉を使うのは以ての外。
カイが、弾きたいリフを弾きたいがままに弾いた。
そして、素晴らしいヘヴィ・メタルが生まれた。
それだけのこと。
ツーバスで疾走する曲は前作よりさらに減り、
リフとノリで押す曲が増えた。
ジューダス・プリーストが打ちたてた偉大なる正統スタイル、
ヘヴィ・メタルの基本をこれでもかと詰め込んだアルバムだ。
1~2の流れが、このアルバムが様式美を踏襲したものであることを高らかに宣言している。
言っておくがこれはジャーマンやメロスピといったサブジャンルで括れるアルバムではない。
シンプルな思考。徹頭徹尾ヘヴィ・メタルでしかないのだ。
3、5、7、10等には、カイの持つブリティッシュ・ヘヴィメタルへの憧憬がそのまま現れている。
リフ・オリエンテッドな正統派スタイルに馴染みのない「ツーバス疾走好き」な人は、これらを退屈だと感じるのだろうか?その辺の評価が少々残念だが、逆に正統派好きにはたまらないテンポ、リフのはずだ。
4、9はI Want Out、Send Me A Sign路線のキャッチーな曲で、ここでは自らが築き上げたスタイルを披露。ヘニュの作曲能力の高さも光る。

要するにこれは「Man On A Mission」のような疾走を求める人向けのアルバムではない。
Judas PriestやIron Maidenの80年代の作品をあらかた聴いた後に聴けば、よりカイの心意気、本作の良さ、面白さを理解できるはずだ。