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St. Anger / METALLICA
neil ★★ (2006-03-10 01:01:00)
元祖ロック界の問題児が作った問題作。もはや「音楽」でなく「音撃」。ドラムなんて、あまりに強く叩き過ぎて、楽器の鳴り響きが完全に死んでる。ギターもベゴベゴのガビガビ。アルバムとしては、音楽作品としては、美しくもないし、クールでもないから、正直最初は「最低だ」と思った。だけど、サウンドエフェクトとか、プロダクションとか、そういう「良質な音楽に必要不可欠な要素」を、力任せに剥ぎ取ってまで、メタクソにブチまけたがった「意義」みたいのを感じたら、とたんに頭に血が上ってきて、冷静さがフッ飛び、ガンガンに頭を振りたくなった。直に魂をバーナーで炙られるような感覚に陥り、胸が熱くなった。物悲しく朗々と歌う美しい曲は入っていない。そういうことにこだわる人たち(というか、フツウの音楽愛好家ならあたりまえのコト)とは「関係ねぇ」曲しか入っていない。過激にギャーギャー叫び声をスピーカーで増幅させたり、鉛を背負ってズッシリ重量上げるようなまやかしもしていない。だから、音質とかそういうことも「関係ねぇ」。人間にできる、人間にしかできない、力任せの大暴力。マシンガンもチェーンソーも防具も必要ない。男だったら、拳で語るのだ。このリアルさ、熱く滾った血と汗の生々しさが、このアルバムを気高く力強いものにしている。この潔さ、無言の威圧感が、若気の至りでめちゃくちゃやってるだけの素人バンド的な薄っぺらいデモテープにはなりえない領域へと、力尽くで引っ張りあげている。一心不乱にボコ殴りするのにうってつけな曲がぎっちり詰まってるし、一心不乱にボコ殴りするのがお似合いな奴らの集まりなんだと思う、METALLICAってのは。
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